【ダブリンB&Q店舗取材に見る】欧州2位のHC企業キングフィッシャーの戦略

高浦佑介 (ダイヤモンド・ホームセンター編集長)
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キングフィッシャーの新業態
都市型小型店「GooDHome」

 最後に、ロリーCEOが残した、最後の遺産、小型新フォーマット「GoodHome」について触れる。

 先ほど、PBの塗料で「GoodHome」ブランドがあると書いたが、今年の5月、コンビニエンスストアタイプの新業態「GoodHome」もオープンした。

 場所はロンドン南部のウォリントンという都心部で、アイテムはホームインプルーブメント用品に絞り込んでいる。店内では、熟練のスタッフが接客するほか、デジタル活用により、新たな買物体験の創出をめざしている。

 巨大倉庫タイプのB&Qとは異なり、コンビニフォーマットの新業態の実験店舗で、この業態でうまく利益を挙げられるようになれば、都心部の人口密集エリアにも出店できる、とロリーCEOは言う。

 クリック&コレクトにも力を入れ、当日配送には6000アイテム、翌日までの配送には2万アイテムを対応させている。

good home
B&Qによる新たなブランド「GoodHome」。都市型小型店でクリック&コレクトにも力を入れる

 欧州で苦戦が続いているキングフィッシャー。

 新CEOはロリー氏が打ち出したワン・キングフィッシャー戦略を継続するのか、見直すのか。また、過去3年間のワン・キングフィッシャー戦略の取り組みはどのように数字に現れてくるのか。新業態「GoodHome」はうまくいくのかどうか。

 欧州と日本では競争環境が異なる点もあるが、対アマゾン戦略、デジタル活用や省力化、都市型小型店の実験など、国内HCが見習うべき点も多い。

 うまくいった点といかなかった点の両方とも、キングフィッシャーの戦略は多くの国内HCの参考になるだろう。

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記事執筆者

高浦佑介 / ダイヤモンド・ホームセンター編集長

2010年東京大学文学部卒業、12年同大学院修士課程(社会心理学)修了。14年ダイヤモンド・リテイルメディア入社。『ダイヤモンド・チェーンストア』誌の編集・記者を経て、19年4月より現職。

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