「フーマー・フレッシュ」が初の閉店!踊り場を迎える中国の「新小売」

菊谷信宏(GloTech Trends 編集長)
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再成長のカギは「地域対応」に?

フーマーフレッシュ店内
フーマー・フレッシュは生簀で販売する高級鮮魚がウリの1つだったが、新フォーマットでは導入していない

 とはいえ、ニューリテール戦略がこのまま縮小の一途をたどるかと言うと、そうではなさそうだ。

 フーマー・フレッシュは4月上旬に新経営戦略を発表し、現在展開している「フーマー・フレッシュ」とコンビニ業態の「フーマーF2」に加え、「盒馬菜市」「盒馬MINI」「盒馬小站」という3つの新フォーマットを開発すると明らかにした。顧客ターゲットを細分化し、より地域属性やユーザー属性に向き合った店舗運営に舵を切るというのである。

 それに先立つ328日、フーマー・フレッシュは上海五月花広場に、3つの新フォーマットのうち、フーマー・ツァイシーの1号店を開業している。生簀(いけす)で販売する高質のシーフードなどは売場から排し、盒馬鮮生(フレッシュフーマー)よりも廉価な商品を展開。従来の高級路線から離れ、庶民の日常の食需要を満たすような店舗コンセプトを導入、価格に敏感な層を取り込む戦略をスタートさせている。

 このほかの盒馬MINIや盒馬小站についてはまだ実店舗がオープンしておらず実像はつかめないものの、それぞれ大都市の郊外や中規模都市での展開が計画されている。これらについても、標準フォーマットの店舗では取り込めていなかった、新たな顧客層の獲得をめざした運営戦略をとるようだ。

フーマーフレッシュの5フォーマット
フーマーフレッシュの5フォーマット

 フーマー・フレッシュをはじめとするニューリテールを提唱する店舗フォーマットは従来、大都市を主戦場とし、デジタルリテラシーの高い若年層を取り込むことを意図して開発された。しかし今後は、各地域や顧客属性に合わせたフォーマットが複数開発されるという流れになりそうだ。店舗閉鎖のニュースでネガティブな見方もなされるニューリテール界隈だが、今後の展開が非常に楽しみである。

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