米消費者物価、5月は+0.1%、年内利下げの根拠強まる

2019/06/13 10:00
ロイター
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消費者物価指数
6月12日、米労働省が発表した5月の消費者物価指数(CPI)は前月比0.1%上昇と、小幅な伸びにとどまった。ジョージア州ウッドストックで昨年6月撮影(2019年 ロイター/Nandita Bose)

[ワシントン 12日 ロイター] – 米労働省が12日発表した5月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前月比0.1%上昇と、小幅な伸びにとどまった。市場予想も0.1%の上昇だった。物価圧力は依然緩やかであることがうかがえ、市場が織り込む年内利下げの根拠となりそうだ。

JPモルガン(ニューヨーク)のエコノミスト、マイケル・フェローリ氏は「軟調な物価動向を踏まえ、年内2回の利下げがあると予想する。ただ成長が依然持ちこたえている上に、通商問題に絡むリスクがどう転ぶか分からないため、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げは時期尚早だろう」と述べた。

内訳ではパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が物価の一時要因の一つとして挙げる航空運賃が上昇。前月まで下落が続いた衣料品も下げ止まった。このためFRBは軟調な物価動向が一時的との見方を崩さないもようだ。

CPIは4月に0.3%上昇。5月は前年同月比で1.8%上昇し、4月の1.9%から鈍化した。市場予想は1.9%だった。

変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアCPIは4カ月連続で前月比0.1%上昇した。中古車や医療品が値下がりし、コアCPIを抑制した。前年同月比は2.0%上昇。4月は2.1%上昇していた。

前日に発表された5月のコア卸売物価指数(PPI)は2カ月連続で底堅く伸び、コアCPIやFRBが物価の目安としているコア個人消費支出(PCE)価格指数も底堅い内容となると期待されていた。

次回のFOMCは来週18─19日に開催される。貿易摩擦の高まりや経済鈍化、5月の就業者数の急減速を背景に、金融市場はFRBが年末までに最低2回利下げすることを織り込んでいる。

パウエルFRB議長は先週、中銀が貿易戦争の経済への影響を注視しており、「景気拡大を維持するため適切に行動する」と述べた。19日は金利を据え置く見方が大勢だ。

4月のコアPCE価格指数は前年同月比で1.6%上昇した。3月は1.5%上昇していた。5月の統計は28日に発表される。コアPCE価格指数は今年、FRBの目標である2.0%を下回っている。

CPIの前月比の内訳は、ガソリンが0.5%低下。4月は5.7%上昇していた。食品は0.3%上昇し、前月の0.1%低下から持ち直した。家庭用食品は0.3%上昇した。

帰属家賃は前月と同様に0.3%上昇した。

医療費は前月と同様0.3%上昇。処方箋は0.2%低下した。

衣料品は横ばい。前月は0.8%低下していた。算出方法の変更が影響し、前月まで2カ月連続でマイナスとなっていた。

中古車は1.4%低下し、4カ月連続で落ち込んだ。自動車保険は0.4%低下と、2007年5月以来の大幅なマイナスだった。娯楽も低下した。

一方で航空運賃や家庭用品、新車は上昇した。

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