[ワシントン 29日 ロイター] – 米商務省が29日発表した3月の個人消費支出(季節調整済み)は前月比0.9%増と、2009年8月以来の大幅な伸びとなった。自動車やヘルスケアの支出が増えた。市場予想は0.7%増だった。
一方、物価は約1年ぶりの小幅な伸びにとどまるなど、落ち着いた動きとなった。
個人消費は米経済の3分の2以上を占める。2月は0.1%増加。1月の数字は当初発表の0.1%増から0.3%増へ上方改定された。3月のインフレ調整後の実質消費支出は0.7%増だった。前月は横ばいだった。
3月の個人消費支出は、26日に発表された第1・四半期国内総生産(GDP)統計の計算に組み込まれた。個人消費は第1・四半期に年率で1.2%増と、1年ぶりの小幅な伸びにとどまった。終盤の3月に個人消費が大幅に伸びたことは、第2・四半期に消費が加速したことを示唆する。第1・四半期GDPは3.2%増だった。
3月の個人消費支出の内訳は、モノが1.7%増と、前月のマイナスから持ち直した。自動車などの耐久財が2.3%増加し、全体を押し上げた。サービスは0.5%増。ヘルスケアが全体を押し上げた。
物価上昇圧力は弱かった。個人消費支出(PCE)価格指数は、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数が前月から横ばいだった。前月は0.1%上昇していた。3月の前年同月比は1.6%上昇と、昨年1月以来の小幅な伸びとなった。前月は1.7%上昇していた。
PCEコア指数の前年同月比は、米連邦準備理事会(FRB)が物価の目安として注目する。昨年3月にはFRBが目標とする2%上昇に12年4月以来初めて達した。FRBは今月30日から5月1日まで連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、景気動向を評価し今後の金融政策を検討する。
MUFG(ニューヨーク)の主任エコノミスト、クリス・ラプキー氏は「インフレ率は利上げを必要とするほど高くなく、かといって需要の減退や利下げの心配するほど低くもない。経済はスイートスポット(最適な状態)に入っていると考えられる」と述べた。
またJPモルガン(ニューヨーク)のエコノミスト、ジェシー・エドガートン氏は「FRBは今週のFOMCで目標を下回るインフレに言及する見通しだが、インフレ動向だけで利下げに踏み切るとは考えにくい」とした。
FRBは3月、今年は利上げをしない見通しを示し、3年間続けてきた利上げ政策を停止した。18年は4回利上げしていた。
3月の個人所得は0.1%増だった。前月は0.2%増加していた。賃金は3月に0.4%増。前月は0.3%増だった。貯蓄は1兆300億ドルと、前月の1兆1600億ドルから減少した。
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