[北京 26日 ロイター] – 中国の習近平国家主席は26日、巨大経済圏構想「一帯一路」は環境に優しく持続可能であると同時に、誰もに「質の高い」成長をもたらすものでなければならないとの考えを示した。
北京で開催されている一帯一路の国際会合の基調講演で語った。
習主席は、一帯一路構想は環境保護に裏打ちされたものでなければならないとし、「オープンかつグリーンでクリーンという概念を貫く必要がある」と強調、「ゼロ寛容の姿勢で汚職と戦う」と表明した。
また「質が高く持続可能でリスク耐性があり、価格も妥当な開かれたインフラを構築することで、各国はそれぞれが持つ資源を最大限に活用できる」と述べた。
米国をはじめとする西側諸国は一帯一路構想について、中国の影響力を諸外国に広げる手段にすぎず、参加国は不透明なプロジェクトによって持続不可能な債務を負わされると批判している。
習主席は、中国が一段の市場開放を進める中、一帯一路は中国にも発展の機会をもたらすとの見方を示した。
「さらなる開放の必要性に従い、中国は法規制を改善し、あらゆるレベルの行政認可や市場監督などの分野で政府の行動を制御するとともに、非合理的な規制や補助金、公正な競争を阻害し市場をゆがめる慣行を一掃する」と述べた。
海外からの投資が制限・禁止される分野を特定した「ネガティブリスト」を大幅に削減するとともに、より多くのセクターで外資による過半出資や完全子会社設立を認めることも約束。
また、関税は引き下げられ、非関税障壁は撤廃されるとした。
中国は財・サービスの輸入を拡大することも目指しており、貿易不均衡の是正に向けて競争力のある農産品やサービスを輸入する用意があるという。
習主席はさらに「中国は主要国とのマクロ経済政策の調整を強化し、世界経済にとって強く持続可能で、包摂的かつ均衡の取れた成長を促進するよう好ましい影響をもたらすよう努める」と表明した。
習主席は2013年に一帯一路を提起。リフィニティブのデータによると、アジア、欧州、アフリカ、オセアニア、南米の諸国で実施されている同構想に基づくプロジェクトの総額は3兆6700億ドルに上る。
北京の国際会合にはロシアのプーチン大統領、一帯一路の最大の受益国の1つであるパキスタンのカーン首相、主要7カ国(G7)のメンバーとして初めて一帯一路への支持を表明したイタリアのコンテ首相が出席した。
カーン首相は会合で、世界的に不透明感があるなか、同構想は「協力やパートナーシップ、連結性、繁栄の共有における模範」を示していると持ち上げた。
マレーシアのマハティール首相は同構想への「全面的」な支持を表明した。
一方、北京の在中国米大使館の報道官は、米国はこの会合にワシントンの高官は派遣しないと述べたうえで「中国のインフラ外交が、開発や労働者保護、環境保護に関する国際基準並びに優良事例を無視あるいは弱めるものになっているという深刻な懸念を引き続き抱いている」と強調した。