[ロサンゼルス 10日 ロイター] – 米中貿易戦争を受け、米企業は家具や冷蔵庫、自動車用タイヤなど関税対象となった製品について、ベトナム、韓国、台湾、メキシコなど中国以外の国からの輸入に切り替えている。
S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスの貿易データ調査会社パンジバが10日公表した新たな分析リポートで指摘した。
約2500億ドル相当の中国製品に10─25%の関税をかけるというトランプ米大統領の決定は、コスト増による壊滅的な打撃を恐れる米国内の小売り業者やメーカーを混乱に陥れた。
報告書によると、第1・四半期に中国から米国に輸入されたコンテナ貨物は6.4%減。関税引き上げに備え、買い手が製品在庫の削減に努め、よりコストの低い国へと調達先を変更したことが背景にある。
イケア、ホーム・デポ、ターゲットなど小売業者による中国製家具の米国への輸入は第1・四半期に13.5%減。一方、ベトナムからの輸入は37.2%増、台湾からの輸入は19.3%増となり、中国からのシフトが見て取れるとパンジバは指摘する。
家電でも同様の変化が起きている。
第1・四半期の中国製冷蔵庫の輸入は24.1%減少した一方、韓国とメキシコからの輸入はそれぞれ31.8%、32%増加した。
報告書は「こうしたシフトの大きな要因に、サムスン電子とLG電子によるサプライチェーンの再編がある」との見方を示した。
自動車業界も貿易ルートを見直しつつある。
中国から米国へのタイヤ輸入は第1・四半期に28.6%減。一方、ベトナムからの輸入は141.7%も急増し、韓国からは11.1%増加した。パンジバによると、ハンコックタイヤとネクセンタイヤなどが供給を拡大している。
貿易摩擦を背景に、米企業は工場への設備投資もシフトしている。
オハイオ州が拠点のクーパー・タイヤ・アンド・ラバーは昨年12月、サイルン・ベトナムと合弁会社を設立し、ベトナムのホーチミン近郊にトラック・バス用のラジアルタイヤ工場を建設すると発表した。