メニュー

過去4番目の大型M&Aに! アマゾンはなぜ「ルンバ」を買収したのか?

アマゾン(Amazon.com)は8月、家庭用ロボット掃除機「ルンバ(Roomba)」を手がける米アイロボット(iRobot)を買収することで最終合意したと明らかにした。買収額は約17億ドル(約2400億円)で、アマゾンは全額をキャッシュで支払う。ルンバを生み出したコリン・アングル最高経営責任者(CEO)は買収手続き完了後、CEOに留任する。

累計販売台数は世界で4000万台突破も、業績低迷に苦しむアイロボット

アマゾンとアイロボットがM&Aの最終契約を締結した(アマゾンHPより)

 アイロボットは米マサチューセッツ州ベッドフォードに本社を置く企業。アングル氏が、マサチューセッツ工科大学(MIT)の人工知能(AI)研究所の同僚らと共同で1990年に設立した。

 同社がルンバの初代機を発売したのは2002年。それから20年後の22年2月には家庭用ロボットの累計販売台数が世界で4000万台を突破した。同社はルンバのほかにも、床拭きロボット「ブラーバ(Braava)」や、プログラミングロボット「ルート(Root)」なども手がけている。

 しかし、ここ最近アイロボットは業績低迷に直面している。同社が先ごろ発表した22年4~6月期決算は、売上高が対前年同期比30%減の2億5535万1000ドル(約358億円)と大幅な減収、最終損益は4342万1000ドル(約61億円)の赤字で前年同期(275万8000ドルの赤字)から赤字幅がさらに拡大した。

 業績低迷の根源は、需要減やサプライチェーン(供給網)の混乱、ドル高などにあるようだ。アイロボットは、世界の従業員の約10%に相当する約140人をレイオフ(一時解雇)し、年内に500万~1000万ドル、23年に3000万~4000万ドルのコスト削減を実施することも明らかにしている。なお、今回のアマゾンによる買収金額約17億ドルには、アイロボットの負債も含まれている。

■AIやIoT活用の家電事業

 一方でアマゾンはこれまで、音声認識AI「アレクサ(Alexa)」を中心としたさまざまな家電製品を手がけてきた。今回の買収が成立すれば、ルンバはこれらアマゾン製品のラインアップに加わることになると、米『ウォールストリート・ジャーナル』紙などの米メディアは報じている。

 アマゾンは21年9月に家庭用小型ロボット「アストロ(Astro)」や、家庭用セキュリティードローン「リング・オールウェイズ・ホームカム(Ring Always Home Cam)」を発表しており、現在、招待制で販売している。この時発表した製品には、壁掛け可能な15.6インチ型スマートディスプレー「エコー・ショー(Echo Show) 15」や、スマートサーモスタット(室温調整機)「Amazon Smart Thermostat」、スマートセキュリティーカメラ「ブリンク・ビデオ・ドアベル(Blink Video Doorbell)」、子ども向けのビデオ通話端末「アマゾン・グロー(Amazon Glow)」などもある。

・・・この記事は有料会員向けです。
続きをご覧の方はこちらのリンクからログインの上閲覧ください。