アマゾン、ウォルマートにコストコも……止まらない米小売の在庫増

小野 貴之 (ダイヤモンド・チェーンストアオンライン 副編集長)
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8年ぶりの港湾労使交渉も在庫増に影響か

 さらに、米国内で2014年以来となる西海岸の港湾労使交渉が、小売企業の在庫増加に拍車をかけていることに注目したい。

 港湾労使交渉は、海運業界の雇用主を代表する太平洋海事協会(PMA)と、米西海岸29港で働く約2万2000人が加入する国際港湾倉庫労働者組合(ILWU)のあいだで、2022年5月から行われている。

 今回の労使交渉は賃金改定と施設自動化が主な争点となっており、妥結は容易でないといわれている。前回2014年に行われた交渉は妥結に10カ月を要し、そのあいだに港湾作業の遅延が発生した。

 現在起こっている在庫の積み上げは、物流混乱の可能性がある状況下、小売企業側が先取りして商品調達をするなどの安全措置を講じてきたとも捉えられる。事実、今回の労使交渉は、前回締結した労働協約が失効する7月1日までの妥結にはならず、その対応は功を奏したといえる。

 昨今の米国の経済状況を踏まえて、米政府、および物流・小売の各業界団体では、ストライキなどの物流遅延を誘発する行為の回避をPMAとILWUの双方に要請している。「先行き不透明な状況下、すでに発生しているサプライチェーンの混乱に拍車がかかることも想定される中、小売企業は倉庫オペレーションや、倉庫と店舗を結ぶミドルマイル配送などの、自社が担う物流の強靭化を続けることが予想される」(高島氏)。

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