EC企業として圧倒的な地位にいるアマゾン(Amazon.com)だが、昨今はリアル店舗の開発・運営や物流領域への積極的な投資、利益の源泉であるクラウド事業、そして新たな収益軸と位置づけるスキャンレス技術をはじめとするテクノロジーの販路拡大など事業は多様化している。新たなニュースも続々と飛び込んでおり、さらなる成長に向けた貪欲な姿勢は不変だ。
“ウォルマート超え”に現実味
2021年度アマゾンの連結売上高は4698億2200万ドル(対前年度比21.7%増)、連結営業利益は248億7900万ドル(同8.6%増)、連結最終利益は333億6400万ドル(同56.4%増)だった。
ウォルマート(Walmart)の売上高は5728億ドルだったのでその差はおよそ1000億ドルとなった。ウォルマートの成長率は2.4%、アマゾンは21.7%、もしアマゾンが20%の成長率を続けると来年中にはウォルマートに追いつく計算となる。ウォルマートが売上高世界一になったときは、小売業というものはそれほど大きくなるポテンシャルのあるビジネスなのだ、とうとうそこまで来たのか、と感慨深く感じたものだったが、私が生きているうちにそれに追いつき追い越す存在が登場するとは思いもよらなかった。
ただしアマゾンの売上高にはマーケットプレイスの手数料しか計上されておらず、流通総額として加えるとウォルマートをすでに追い越して実質的には世界最大の売上高を持つ企業である。
ちなみに連結営業利益よりも連結最終利益のほうが多い理由は投資していた電気自動車メーカーのリヴィアン(RivianAutomotive)が11月に上場し、評価額を損益に計上したからだ。リヴィアンは電気自動車メーカーで、アマゾンは脱炭素コミットメントの一環として大量の電動宅配車をリヴィアンに発注しており、ついでに投資もしてきた経緯がある。自社が大口顧客となって開発と製造を支えて、投資もし、上場が成功したのであった。
オンラインストアの伸び率が鈍化
アマゾンの過去10年間の平均売上高成長率は25.7%で、昨年度の21.7%という伸び率は
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