コロナ禍3年目を迎え、米国では徐々に「アフターコロナ」の世界へ進もうとしている。そうしたなかで、小売市場は全体的に力強い成長を示している。コロナ禍では従前から取り組んできたEC事業や受け取り手段の拡充への投資が実を結び、EC売上高の急増によって全体の業績を伸ばした企業が多い。業態、主要企業ごとの動向を確認しながら、米小売市場の今と今後の展望を考察していきたい。
小売販売総額は前年から約10%増に
2021年の米国小売業の販売総額は対前年比10.5%増の3兆8178億ドル(約477兆2250億円:1ドル=125円で換算)。コロナ禍での内食需要の高まりなどに伴って同6.3%増となった20年よりも対前年比伸び率は大きくなっている。
食品スーパー(SM)は20年の“コロナ特需”からやや落ち着きを見せた。最大手のクローガー(Kroger)、アルバートソンズ(Albertsons)、リージョナルチェーンのHEバット(H-E-B)、51の小売業者が加盟する協同組合ウェイクファーン・フード(Wakefern Food)では、21年の販売額が20年を下回ったものの、コロナ禍以前の水準は大きく上回っている。
ハイパーマーケット(HM)のウォルマート(Walmart)、ターゲット(Target)、ミシガン州を拠点に中西部6州で展開するマイヤー(Meijer)では販売額が21年も引き続き伸びており、いずれもコロナ禍以前の19年から2ケタ増となった。
米国では物価上昇の影響により消費者の節約志向が高まっているものの、価格訴求型の業態で二極化の傾向もみられる。会員制ホールセールクラブ(MWC)最大手のコストコ(Costco)では20年に引き続き、販売額の対前年比伸び率が2ケタとなった。ドイツ系ハードディスカウントストア(HDS)のアルディ(Aldi)も店舗数を米国38州2100店舗以上に増やし、販売額を順調に伸ばし続けている。
一方で、ダラーストア業態のダラー・ゼネラル(Dollar General)やダラー・ツリー(Dollar Tree)では販売額の対前年比伸び率が
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