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英テスコ、ディスカウントストア「ジャックス」の営業終了、1号店から3年半

英テスコのディスカウントストア「ジャックス」前で行われたセレモニーの様子
ジャックスはドイツ系食品ディスカウンターに対抗する業態として、2018年9月から出店を始めた

 英大手スーパーのテスコは、ディスカウントストア(DS)の「ジャックス」全店の営業を終了する。現在、13店舗を展開しているが、6店舗は「テスコ」ブランドのスーパーマーケット(SM)に転換、残り7店舗は2月中に閉鎖する。

 同社は創業100周年事業として、2018年9月にジャックスの1号店をオープンした。店名はテスコの創業者であるジャック・コーエン氏にちなんだものだ。英国ではドイツ系のハードディスカウンター(小型食品DS)であるアルディとリドルが、SMのシェアを奪っており、ジャックスはハードディスカウンター対策のために開発された業態だった。

 ハードディスカウンターと同じように品揃えを絞り込み、単品大量陳列で運営コストを下げ、低価格で販売することをコンセプトとしていた。商品の80%は国内産とし、プライベートブランド(PB)商品「ジャックス」を展開することで、アルディやリドルとの差異化を図っていた。

 しかし、コロナ禍でオンラインの売上が拡大しているほか、18年に買収したブッカーも好調なことから、ジャックスの運営から撤退し、主力事業に経営資源を集中することにした。

 ジャックスのPBについては、独立系商店や飲食店を対象としたキャッシュ&キャリー(会員制現金卸)事業を展開するブッカーで引き続き取り扱う。ブッカーの21年9〜11月期の売上高は、既存店ベースで前年同期比16.2%増となるなど好調に推移している。

 テスコは、SM店舗の対面カウンターも大半を閉鎖することを決めた。精肉や鮮魚、総菜などの対面カウンターは、コロナ禍による非接触ニーズの高まりもあって利用が減っていた。利用者が多い279店舗では対面カウンターの営業を継続するが、317店舗は閉鎖する。競合のセインズベリーは、全店で対面カウンターの営業をやめることを決めている。