小売業種からはトライアルなど8社が上場! 24年の新規公開企業のその後
25年でも続く“非上場化”の傾向のワケ
上場をめざす企業がある一方、上場を廃止する企業もある。24年は上場企業数(86社)を上回る94社が上場を廃止した。25年に入ってからも、これまでのところその傾向が続いており、3月21日予定を含めて28社が上場廃止となるのに対し、新規上場は16社にとどまっている(4月7日上場予定分まで含む)。
24年に上場廃止した主な小売業には、ケーヨー(24年9月にDCMが吸収合併)、アオキスーパー(愛知県/青木俊道社長)、サマンサタバサジャパンリミテッド(東京都/古屋幸二社長)、スノーピーク(新潟県/山井太社長)、ローソン(東京都/竹増貞信社長)、関西フードマーケット(大阪府/林克弘社長)、日本KFCホールディングス(神奈川県/遠藤久社長)、いなげや(東京都/本杉吉員社長)などがある。
24年5月に上場を廃止したアオキスーパーは、開示資料において「資金調達の必要性は当面見込まれず、一定のブランド力や取引先に対する信用力はすでに確保できており、上場を維持する必要性やメリットが低下している。また、短期的な利益にとらわれずに、経営陣・株主が一体となり、機動的な経営判断を行う体制を構築し、抜本的な経営改革を推進することが必要不可欠であると考えた」と、上場を廃止する背景を明らかにしていた。
会社を上場するメリットには、主に3つあると考えられている。①資金調達のしやすさ、②社会的な信用、③会社の価値の判断材料だ。人材の採用にプラスに働くことも多い。
反対にデメリットとしては、①上場の手続きや維持にコストがかかる、②社会的な責任を伴う、③株式を買い占められる可能性がある、といったことがある。
とくに最近は“モノ言う株主”の動きが活発化し、目先の株主利益を求める声も大きくなっている。その場合、そもそも企業の中長期的な成長戦略とそぐわないケースである可能性もある。また、あらゆるコストが値上がりするなど市場環境が激変する昨今において、抜本的な経営改革が必要とされるが、その実行のためには上場企業であることが足かせになることもある。
加えて、東証が求める上場維持基準(株主数、流通株式の時価総額、売買代金・売買高、純資産の額など)が厳格化されたことも、上場廃止の流れに影響していると考えられる。