西暦下一桁「3」の年は冷夏になる!? 2023年の気候展望とウェザーMDの注意点まとめ

常盤勝美
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2023年の天候予測におけるチェック項目

 今年の天候が、ほぼ平年並の状況が継続するか、それとも状況が変化していくのか、もし変化が起こりそうな場合は、その兆しをなるべく迅速に察知し、対応策を再検討することも必要です。ここでは状況変化の兆しをとらえるためのチェック項目を列記します。日々の天気や週間予報は、ある程度見る習慣がついている方も多いかもしれません。ただ年に1~数回程度しか発表されない情報は、確認を忘れがちです。情報の種類に加え、発表日程もあわせて確認ください。

チェック項目① 「エルニーニョ監視速報」(毎月10日頃発表)
 エルニーニョ・ラニーニャ現象は、発生した際の月あるいは季節ごとの起こりやすい気候状況が統計的に整理されており、おおむね数か月程度先の天候傾向を予測する上での重要な指標です。「エルニーニョ監視速報」は、エルニーニョ・ラニーニャ現象の現在の発生状況と今後の予測に関する情報で、毎月10日頃気象庁から発表されます。

 今年とくに注意すべきなのは、エルニーニョ現象の発生可能性です。気象庁が2022年12月9日に発表した「エルニーニョ監視速報」によると、今春以降、わずかながらエルニーニョ現象発生の可能性があるとのシミュレーションをしています。もし今後、エルニーニョ現象が発生すれば日本付近では、夏は冷夏の、冬は暖冬の確率が少し高まります。

 1980年代から2000年代にかけて、夏の天候に5年あるいは10年サイクルの周期性があるのでは、と言われていた時代があります。その中で、西暦の下一桁3の年と8の年は冷夏になる法則性がありました。2010年代はその法則性が崩れていますが、今年は下一桁3の年にあたります。

 「エルニーニョ監視速報」の冒頭に記載されている2~3項目の概況的なコメントから、エルニーニョ現象・ラニーニャ現象の現在の状況、今後の発生確率と、前回発表内容からの変化の有無を読み取りましょう。

チェックポイント② 「暖候期予報」(2月21日発表)
 6~8月の天候予測および梅雨の傾向に関する予測情報である暖候期予報は、今年は2月21日に発表されます。夏の天候に関して最も早くに発表される予報であり、今夏のMD計画を策定するにあたり必ず参考にすべき情報です。とはいえ、気象庁発表の予報内容をそのまま使うには、少し使いづらいかもしれません。気象庁の季節予報(1か月予報、3か月予報、暖候期・寒候期予報)は、低温の確率:平年並の確率:高温の確率という形式で発表されます。気象庁HP上での凡例では以下のとおりです。

 予報内容をより分かりやすくするため、以下のように階級によって言葉に置き換えます。そして、上の方にいけばいくほど記録的な暑夏の可能性が、下の方にいけば行くほど記録的な冷夏の可能性が高まると考えて、夏物の仕入れ、販促強度などの規模の大小に反映するなど、MD計画の参考にします。

チェックポイント③ 「梅雨入り」が発表された日
 梅雨入りのタイミングから季節の進み具合を把握し、盛夏期の天候を予測する上での一つの参考材料とすることができます。梅雨入りが平年より早まれば、季節が前倒し気味に推移していることが推測されます。一方、梅雨入りが遅れれば、季節が後ろ倒し気味に推移している可能性があります。前者であれば、梅雨明けが早まり結果的に夏の高温の可能性が高まりますが、梅雨入りが遅れれば梅雨明けも遅れ、結果的に天候不順な夏となる懸念が出てきます。

 すでに盛夏期に向けての計画がかなり進んでいる時期ですが、販促の規模の調整などへの考慮が可能と考えられます。

チェックポイント④ 「寒候期予報」(9月19日発表)
 2月に発表されるのは夏の天候を予測する暖候期予報。それに対して9月19日は、その先の冬(12~2月)の天候を予測する寒候期予報が発表されます。気象庁の発表する、「低い:平年並:高い」の確率分布に関する意味合いは、暖候期予報の項で説明しているものと同様にお考えください。いつ頃から寒さが厳しくなっていくのか、どのくらいの寒さか、日本海側を中心とした雪の量はどうか、太平洋側を中心とした空気の乾燥度合いは、といった観点での参考材料としてください。

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