値上げラッシュに電気代高騰で、中小スーパーほど事業存続の危機に陥る理由

中井 彰人 (nakaja lab代表取締役/流通アナリスト)
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電気代高騰の影響は不可避?

 価格転嫁に悩まされる中、電気代の高騰が食品スーパーの収益をさらに奪っている。生鮮やチルド、冷凍など温度管理が必要な商品を多く取り扱う食品スーパーにとって、電気代は元々大きな固定費の一つであり、これが増えてしまうことは収益に大きな影響をおよぼす。

 図表②は上場食品スーパーの2022年上半期決算において、決算説明会資料に記された電気代高騰の影響を抽出したものだ。これをみると、主な上場スーパーのほとんどが減益となっているのだが、その要因としては人件費の高騰と並んで、水道光熱費が大きな影響を与えたことがわかる。

図表②主要食品スーパーの2022年度上期業績と電気代高騰の影響

 たとえばライフコーポレーション(大阪府)であれば、売上高光熱費比率は1.09%(2021年度上期実績)から1.55%(2022年度上期実績)となり、0.46%も上昇。そのほかの企業でも数十億円規模の減益要因となっている。さらには、この上昇幅は23年以降の電気代引上げによって拡大することが確実で、さらに大きなコストが継続的な固定費として流出することになる。

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記事執筆者

中井 彰人 / 株式会社nakaja lab nakaja lab代表取締役/流通アナリスト
みずほ銀行産業調査部シニアアナリスト(12年間)を経て、2016年より流通アナリストとして独立。 2018年3月、株式会社nakaja labを設立、代表取締役に就任、コンサル、執筆、講演等で活動中。 2020年9月Yahoo!ニュース公式コメンテーター就任(2022年よりオーサー兼任)。 2021年8月、技術評論社より著書「図解即戦力 小売業界」発刊。現在、DCSオンライン他、月刊連載4本、及び、マスコミへの知見提供を実施中。起業支援、地方創生支援もライフワークとしている。

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