H2Oの26年3月期中間決算 食品事業が増収増益、フォーマット転換の今後は

植芝 千景 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)

価値訴求と価格訴求のハイブリッドフォーマットを出店

 関西フードマーケットでは現在、消費の2極化を背景に、店舗フォーマットの再構築を進めている。既存のフォーマットを「高付加価値型(Aタイプ)」と「価格訴求型(Cタイプ)」の2軸に再定義した。これに加えて、それぞれの基本コンセプトを踏襲しつつ、立地や商圏を考慮して変形させた派生フォーマットである「Aダッシュ」「Cダッシュ」も導入している。

 さらに、セントラルキッチンやアウトパック商品の活用により店内製造を極力抑える小型フォーマットの開発にも取り組んでおり、省力化と収益性の両立を図っている。こうした戦略のもと、今期は1店舗を新規出店、既存店4店舗のリニューアルを実施(図表1)する。

図表1
図表1

 このうち「阪急オアシス Marché南千里店」(大阪府吹田市)は、10月31日にAタイプとCタイプを融合した「ハイブリッド型」としてリニューアルオープンした。林社長は「Aタイプを基本としつつ、Cタイプの長所をかけ合わせたフォーマットだ」と説明する。

 関西フードマーケットは今期中に、9店舗を価格訴求型のCタイプに転換する計画を進めている。林社長は、「地域の需要を見てどのフォーマットにするかを決定していく」と前置きしたうえで、「関西では、付加価値に特化した店舗が成立するマーケットは限られている」と話した。今後の転換はハイブリッド型とCタイプを中心に展開される可能性が高い。

 「関西スーパー デイリーマート市岡店」の成功を追い風に、関西フードマーケットはフォーマット転換を軌道に乗せられるか。新フォーマットの真価が問われる局面に入った。

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記事執筆者

植芝 千景 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

同志社大学大学院文学研究科(国文学専攻)修士課程修了後、関西のグルメ雑誌編集部を経て、ダイヤモンド・リテイルメディアに入社。関西小売市場やDX領域を中心に取材・執筆を担当している。現在は大阪府在住。

まとまった休日には舞台・映画鑑賞を楽しむほか、那智勝浦へ弾丸旅行に出かけることも。世界各国の家庭料理を再現するのも趣味のひとつだが、料理に入れたスパイスで歯が欠けたので今は控えめに取り組んでいる。

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