オークワ、26年2月期中間決算は増収増益 通期で黒字転換見込み

植芝 千景 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)

マーケティング強化と生産性向上で業績改善へ

 オークワは24年3月に公表した中期経営計画(25年2月期~27年2月期)に基づき、「業態の再構築」「店舗生産性の向上」「オークワブランド商品の拡大」「マーケティング戦略の強化」「業務革新によるコスト削減」といった重点施策を並行して推進している。

 具体的な取り組みの一つとして、「マーケティング戦略の強化」ではデジタル接点の拡大を進める。今期は自社アプリの「オークワアプリ」新規会員10万人増を目標に掲げ、8月20日時点ですでに7万3000人を獲得している。アプリを活用した販促を通じ、顧客の定着と客数増加をめざす。

 さらに若年層へのアプローチとして25年1月に新サービスの「こそだてクラブ」を開始。18歳以下の子どもを持つ保護者にアプリを通じてポイントやクーポンを配信している。オークワの大桑弘嗣社長は「順調に登録者を増やしており、若年層の獲得にもつながる」と期待を示した。

 24年からはアプリによる顧客アンケートも実施し、店舗ごとの課題を可視化する取り組みも進行中だ。大桑社長は「リアルなお客さまの声を知ることで、店舗が意欲的に改善に取り組むようになった」と説明。実際に、アンケートを契機として売場改善を進め、成果を上げつつある店舗も出てきている。

 そのほか、「店舗生産性の向上」では、必要レジ台数の予測精度向上によりチェッカーの労働時間を前年同期比96.1%に削減。セルフレジの利用率向上も進めるほか、業務の属人化を見直す取り組みも始めている。

 26年2月期通期の業績予想では、営業収益2590億円(対前期比3.5%増)、営業利益21億円(同58.1%増)、経常利益21億円(同45.6%増)、当期純利益8億円(前期は当期純損失23億円)と、黒字転換を見込む。

 各施策の効果が着実に表れはじめるなか、オークワは収益基盤の強化を進め、持続的な成長をめざしていく考えだ。

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記事執筆者

植芝 千景 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

同志社大学大学院文学研究科(国文学専攻)修士課程修了後、関西のグルメ雑誌編集部を経て、ダイヤモンド・リテイルメディアに入社。関西小売市場やDX領域を中心に取材・執筆を担当している。現在は大阪府在住。

まとまった休日には舞台・映画鑑賞を楽しむほか、那智勝浦へ弾丸旅行に出かけることも。世界各国の家庭料理を再現するのも趣味のひとつだが、料理に入れたスパイスで歯が欠けたので今は控えめに取り組んでいる。

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