トライアルHDが25年6月期決算を発表 注目の「トライアルGO」は東京都内で出店拡大へ

小笠原 玲 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)

トライアルホールディングス(福岡県/永田洋幸社長:以下、トライアルHD)は8月13日、2025年6月期の通期連結決算を発表した。全国での積極的な新規出店や、粗利向上を企図した価格政策が効果を上げ、2ケタ増収・営業増益を達成、力強い成長を見せつけた。7月には西友(東京都/楢木野仁司社長)の完全子会社化を完了し、同社の業績が加算される26年6月期の営業収益は1兆3000億円を超える見通しだ。

新規出店・既存店好調により2ケタ増収達成 リテールAI事業は黒字転換

 トライアルHD256月期の連結業績は、営業収益が8038億円(対前期比12.0%増)、営業利益が211億円(同10.2%増)、経常利益が222億円(同12.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が117億円(同2.7%増)となった。全国的な新規出店のほか既存店の好調が売上を大きく伸ばし、25期連続(会計期間変更期を除く)の増収を達成した。既存店売上高は同3.6%増、客数は同1.7%増、客単価も同1.9%増と堅調に推移している。 

 もっとも、上期は営業収益こそ対前年同期比2ケタ増と好調だったものの、営業利益は同16.1%減、対計画比20.9%減とブレーキがかかった。これを受けて下期は、価格の表示方法変更(外税価格の併記)や価格適正化などの施策を展開。とくに第4四半期の粗利益率は計画を上回って着地した。

 セグメント別に見ると、流通小売業は「フレッシュ(生鮮4品)」の売上高が対前期比18.6%増で全体をけん引した。なかでも、粗利率が高い総菜の売上高は同24.4%増加。売上高構成比は同0.6ポイント増の6.3%となっている

 出店戦略では、期中に35店舗を新規出店したほか19店舗の改装を行い、期末店舗数は352店舗となった。新規出店の内訳は、メガセンターが4店舗、スーパーセンター(SuC)が20店舗、smart7店舗、小型店が4店舗となっている。出店エリアはドミナントを形成する九州地方に加え、北陸地方や静岡県などこれまで店舗がなかった地域にも広がった。なお改装については上期に集中させており、下期は新規出店に軸足を置いた。

 一方、リテールAI事業は、セルフレジ機能を搭載したショッピングカート「Skip Cart」のグループ店舗への導入のほか、外販も拡大。セグメント利益は前期の5億円の赤字から、5500万円の黒字に転換した。

 

1 2

記事執筆者

小笠原 玲 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

早稲田大学文学部(ドイツ哲学専攻)を卒業後、教育系の編集プロダクションで国語の入試問題の制作を担当。2024年、ダイヤモンド・リテイルメディアに入社。

休日の大半を台所で過ごすほど、無類の料理好き。得意な料理は、出汁巻き卵と切り干し大根の煮物。料理研究家の土井善晴氏を尊敬している。

趣味は、ミニシアターで映画をみること。音の大きな映画が苦手で、日常を切り取ったような変哲のない映画やドキュメンタリー映画を好む。見た作品のリーフレットを持ち帰り、コレクションしている。

関連キーワードの記事を探す

© 2025 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態