デロイト トーマツ グループが集計・発表した2021年度の世界の小売業売上高ランキングによると、上位250社の平均小売売上高成長率(対前年度比)は好調だった前年度をさらに大きく上回る結果となった。販売チャネル拡大や最新テクノロジーを活用した、より便利で快適な買物体験の提供を追求する企業を中心に好業績に沸いた。上位企業や成長企業の動向、国・地域別の市場動静を詳しく解説していく。
●ランキングについて:デロイト トーマツ グループが発表している「世界の小売業ランキング2023」における売上高トップ250社ランキングのうち、本稿では上位100社を掲載した。データは、一般に入手可能な情報により、2021年度(22年6月までを期末とする事業年度)について、小売業のみの売上高を米ドルに換算して比較している。
上位250社の平均成長率は前年超え
デロイトが毎年発行している本レポートは、21年度(22年6月までを期末とする事業年度)の公表データに基づいて、世界の小売企業の業績から上位250社を選定し、地域および商品セクター別の分析や急成長を遂げた企業について考察したものである(本特集では上位100社を掲載)。
21年度は世界の小売業上位250社全体で、きわめて高い小売売上高成長率を達成した。為替調整後の売上高加重平均ベースで対前年度比8.5%増であり、これは20年度の同5.2%増をさらに上回る勢いである。なかでもオンライン小売企業や高度に発達したデジタルチャネルを持つ小売企業が、20年度の記録的な売上高をさらに上回る大幅な小売売上高の伸びを計上し、高成長に寄与した。
21年度の小売業界は、依然としてインフレ率の急上昇、商品価格の高騰、金融政策の引き締め、サプライチェーンの大混乱、労働市場の逼迫などの大きな課題に直面した。しかしコロナ関連の規制が徐々に緩和され、消費者がパンデミック以前の買物習慣を取り戻したことにより、明るい面も見いだせつつある。
上位10社の顔触れは変わらず
今回のランキングにおいて上位10社が全体に占める売上高のシェアは34%であり、前年度と変わらず大きな影響力を示している。上位10社の
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