中国GDP、第2四半期は7.9%増に急減速 追加緩和予想強まる

ロイター
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中国北京のショッピングモール
7月15日 中国国家統計局が15日発表した2021年上半期の国内総生産(GDP)は前年比12.7%%増加し、予想よりも緩やかな成長となった。写真は2021年4月、北京で撮影(2021年 ロイター/Tingshu Wang)

[北京 15日 ロイター] – 中国国家統計局が15日発表した2021年4─6月期の国内総生産(GDP)は前年比7.9%増となり、過去最大の伸びを記録した1─3月期の18.3%増から大きく鈍化した。原材料価格の高騰が工業生産に打撃となったほか、新型コロナウイルス感染拡大で消費が伸び悩んだ。当局が景気回復を後押しするため、追加策の実施を余儀なくされる可能性があるとの見方が広がった。

ロイターがまとめたエコノミスト予想の8.1%増を下回った。

前期比では1.3%増。市場予想の1.2%増を上回った。

上半期のGDPは前年比12.7%増加し、予想よりも緩やかな成長となった。

1─3月期GDPの前期比伸び率は0.6%増から0.4%増に改定された。

国家統計局の劉愛華報道官は会見で「国内経済の回復は一様ではない」とした上で、「新型コロナの世界的な流行が続いており、外部の不安定要素や不確実性が多数ある」と警戒感を示した。

6月の指標は堅調

6月の主な経済指標は、前月から伸びが減速したものの予想は上回った。

鉱工業生産は前年比8.3%増。自動車生産が大きく落ち込んだことから5月の8.8%増から減速したが、エコノミスト予想の7.8%増は上回った。

小売売上高は前年同月比12.1%増となった。アナリスト予想は11.0%増、5月は12.4%増だった。

1─6月の中国固定資産投資は前年比12.6%増だった。予想の12.1%増を上回ったが、1─5月期の15.4%増からは伸びが縮小した。

UOB(シンガポール)のエコノミスト、WOEI CHEN HO氏は6月の経済指標について「当社や市場の予想を若干下回ったが、モメンタムはかなり強いと思う」と指摘。「小売売上高、鉱工業生産、固定資産投資の伸びが5月から減速したが、市場予想は上回った。特に小売売上高の伸びが強く、心強い」と評価した。その上で「より深刻な懸念は、これまでの回復が不均一なことだ。中国にとって国内消費の回復が非常に重要だ」とした。

年内に追加緩和も

中国経済は輸出の好調や政策支援によりコロナ禍の低迷から急速に回復したが、ここ数カ月間のデータでは、回復の勢いが若干衰えていることがうかがえる。原材料価格の高騰や供給不足、大気汚染対策の規制などが産業活動を圧迫している。新型コロナの感染が小規模ながらも続いていることも個人消費を抑制している。

主要国の中銀が新型コロナ禍で講じた刺激策の縮小に着手しようとする中、人民銀行は先週、預金準備率の引き下げを発表した。

ロイターのエコノミスト調査では、第4・四半期に預金準備率がさらに引き下げられるとの見方が優勢となっている。

オーストラリア・アンド・ニュージーランド銀行(ANZ)の中国担当シニアストラテジスト、XING ZHAOPENG氏は、現在の状況を踏まえると、政策当局者が行動を起こさなければ、第4・四半期のGDPは、前年同期が好調だったため、妥当な範囲から外れてしまう可能性があると指摘し、政府は的を絞った緩和措置を打ち出すとの見方を示した。

向かい風

中国の力強い輸出が新型コロナ危機からの回復を支えてきたが、税関当局は今週、新型コロナを巡る不透明感などにより下半期は貿易の伸びが鈍化する可能性があるとの見方を示した。

キャピタル・エコノミクスの中国担当シニアエコノミスト、ジュリアン・エバンズプリチャード氏はリポートで「今年後半は成長への向かい風が強まる公算が大きい」と予想。「中国の新型コロナ輸出ブームはピークを過ぎたようだ。ワクチン接種が進み経済再開で世界の消費動向が正常化するため、今後数四半期で解消されるだろう」と分析した。

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