[東京 1日 ロイター] – 日銀が1日発表した6月短観によると、大企業・製造業の業況判断指数(DI)がプラス14、非製造業がプラス1となった。ともに4期連続の改善。3月調査からの改善幅は製造業が9ポイント、非製造業が2ポイントと製造業の回復が目立った。先行きについては一部業種から原材料価格上昇の影響を懸念する声も出ていたという。
大企業・製造業の業況判断DIは、2018年12月以来の水準。輸出・生産が増加を続け、ほとんどの業種で改善した。機械関連からは国内の設備投資の持ち直しの好影響を指摘する声も聞かれた。一方、自動車はプラス3と、3月調査から7ポイント悪化した。半導体不足の影響が出たという。
大企業・製造業の先行き判断DIはプラス13と、1ポイントの悪化を見込む。コロナ禍による不透明感を指摘する声が幅広く聞かれたほか、木材・木製品、化学、食料品、金属製品などからは「原材料価格の高騰が収益に悪影響を及ぼすのではないかとの懸念が出ている」(日銀の担当者)。一方、自動車からは半導体不足の影響緩和に期待する声もあったという。
大企業・非製造業の業況判断DIは、20年3月以来の水準。業種別ではまちまちの動きで、物品賃貸は公共工事関連を含む建設機械のリース需要が増えているほか、卸売や運輸・郵便は製造業の生産・輸出の増加を受けて荷動きが好調という。一方、対個人サービスや宿泊・飲食サービスではコロナの感染拡大などを受け、業況判断を引き下げるところがあった。
大企業・非製造業の先行き判断DIはプラス3だった。対面型サービスを中心に「コロナワクチンの接種が進み、消費活動や人の移動が回復する声が幅広く聞かれた」(日銀の担当者)という。小売からは「巣ごもり需要」の鈍化、通信・情報サービスからはテレワーク需要の一服を懸念する声が出ていた。
21年度の設備投資計画では、大企業・全産業が前年度比9.6%増と、ロイターがまとめた市場予想の7.2%増を上回った。
企業金融では資金繰り判断DIが大企業、中堅企業、中小企業でいずれも改善。金融機関の貸出態度は大企業、中堅企業、中小企業は横ばいだった。
事業計画の前提になっている21年度の想定為替レート(全規模・全産業)は、ドル/円が106.71円、ユーロ/円が125.27円だった。ドル/円は3月調査の106.07円からやや円安方向、ユーロ/円も123.10円に比べて円安方向に振れた。
企業の物価全般の見通し(全規模・全産業)は、1年後が前年比プラス0.6%(前回はプラス0.4%)、3年後はプラス0.9%(同プラス0.8%)、5年後はプラス1.1%(同1.0%)だった。
今回の短観の調査期間は5月27日から6月30日。回答基準日は6月11日で、7割台半ばから回収した。
詳細は以下の通り。(カッコ内はロイターが集計した民間調査機関予測の中央値)
業況判断DI(「良い」-「悪い」・%ポイント)
6月調査 9月予測 3月調査
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製造業
大企業 +14 (+15) +13 (+18) +5
中堅企業 +5 ‐1 ‐2
中小企業 ‐7 (-5) ‐6 (-3) ‐13
非製造業
大企業 +1 (+3) +3 (+8) ‐1
中堅企業 ‐8 ‐8 ‐11
中小企業 ‐9 (-9) ‐12 (-8) ‐11
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設備投資額(含む土地投資額、前年度比・%)
2021/22
6月調査
全産業 +7.1
大企業 +9.6
製造業 +13.3
非製造業 +7.4
中堅企業 +3.6
製造業 +14.0
非製造業 ‐2.1
中小企業 +0.9
製造業 +2.3
非製造業 +0.2
経常利益(前年度比・%)
2021/22
6月調査
全産業 +9.1
大企業 +11.0
製造業 +4.0
非製造業 +20.0
中堅企業 +8.4
製造業 +5.0
非製造業 +10.3
中小企業 +3.1
製造業 +10.2
非製造業 +0.8
資金繰り判断DI(全産業、「楽である」─「苦しい」・%ポイント)
6月調査 3月調査
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全産業 +11 +9
大企業 +15 +14
中堅企業 +14 +11
中小企業 +8 +6
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金融機関の貸出態度判断DI(全産業、「緩い」─「厳しい」・%ポイント)
6月調査 3月調査
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全産業 +18 +18
大企業 +16 +16
中堅企業 +21 +21
中小企業 +19 +19
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雇用人員判断DI(「過剰」─「不足」・%ポイント)
6月調査 3月調査
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全産業 ‐14 ‐12
大企業 ‐7 ‐5
製造業 ‐2 0
非製造業 ‐10 ‐13
中小企業 ‐16 ‐15
製造業 ‐7 ‐3
非製造業 ‐22 ‐22
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生産・営業用設備判断DI(「過剰」─「不足」・%ポイント)
6月調査 3月調査
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全産業 +2 +4
大企業 +2 +4
製造業 +1 +6
非製造業 +3 +2
中小企業 +2 +4
製造業 +5 +8
非製造業 0 0