専門店やECが台頭するなか、事業構造改革が進められてきた総合スーパー(GMS)。新型コロナウイルス(コロナ)感染拡大下では、食品は一様に伸びた一方で、衣料品やテナント売上高はマイナス影響を受け、企業によって業績が分かれた。消費環境が大きく変わるなか、各社はいっそうの抜本的改革を推進している。
イオンは新中計で収益性改善に本腰へ、セブン&アイはヨーカ堂の増益が貢献
国内小売最大手イオン(千葉県)の2021年2月期連結業績は、営業収益が対前期比0.0%減の8兆6039億円、営業利益が同30.1%減の1505億円。セグメント別では、コロナ禍で生活必需品を購入する場所として食品スーパー(SM)やドラッグストアが大幅に業績を伸ばした一方、臨時休業・時短営業を余儀なくされたGMSやショッピングセンター(SC)が苦戦した。
GMS事業の営業収益は同0.0%減の3兆695億円、営業損失は156億円だった。中核企業であるイオンリテール(千葉県)では、ネットスーパーや、専用端末を使って来店客自身で商品をスキャンする「レジゴー」などの導入店舗を広げるなど、ニューノーマルの買物環境への対応を推進。同時に、在庫を同約2割、本社経費を同21%削減するなど経営体質を強化した結果、下期業績は前年の水準まで回復した。しかしながらGMS事業の収益性はいまだ低く根本的な課題解決が必要とされている。
また大きな動きとして20年3月にイオン北海道(北海道)がマックスバリュ北海道を、20年9月にはイオン九州が、同じく福岡県に本拠を置くマックスバリュ九州、イオンストア九州の2社を吸収合併した。結果、2社は大幅な増収増益となっている。これによって19年2月期からイオンが進めてきたSM・GMSの地域再編はいったん完了となり今後は統合効果の発揮に注目が集まる。
イオンは22年2月期から5カ年の新中期経営計画をスタートした。経営効率の改善に注力し、営業利益率の向上をKPI(重要業績評価指標)に据え、26年2月期までに営業収益11兆円、営業利益率3.5%、ROE(自己資本利益率)7%以上をめざす。
セブン&アイ・ホールディングス(東京都)の21年2月期連結業績は、
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