少子高齢化により人口減少が進む日本では、食品小売のマーケットは着実に縮小している。このような人口減少時代で、食品小売業はどのように生き残りを図ればよいのだろうか。本稿では、日本の戦後から現在までの人口減少の状況や課題を踏まえ、食品小売業が生き残るための手法を提示する。
高齢化が進む一方 就業者数は増加
日本の総人口は1億2565万人(2015年国勢調査を基準とする2020年11月1日時点の推計値)で、2008年をピークに減少している。
日本の人口構造は、1947~49年生まれの「団塊世代」とその子供世代にあたる1971~74年生まれの「団塊ジュニア世代」の2世代をピークとして凸凹の形状をなしており、人口動態はこれら2つの世代の影響を強く受ける。三井物産戦略研究所主任研究員の鈴木雄介氏は、「団塊世代が定年退職を迎え、経済や社会への影響が大いに懸念された2010年前後と比べて、2015年以降、団塊世代がもたらす社会的インパクトは小康状態となっている。団塊世代が後期高齢者となる2025年までは目に見える変化は起こりづらい」と予測。「当面は、2010年以降の変化の延長線上でとらえればよい」と述べている。
鈴木氏は「2025年以降、医療や介護などの観点で、高齢化の問題が社会的に注目を集めるようになるだろう」と指摘しながらも、年金、医療、介護などの社会保障制度への影響について、「団塊ジュニア世代が定年退職を迎える2040年頃までは、現行の制度でも支えられる」との楽観的な見解を示す。鈴木氏の試算によれば、実質GDP成長率1%が維持され、かつ医療費や介護費の上昇が物価上昇率の範囲内であると仮定すると、医療費の対GDP比は2040年でも1ポイント程度の上昇にとどまる。介護費についてもほぼ同様と予測されている。
15~64歳までの生産年齢人口は、団塊ジュニア世代が労働市場に加わった1995年をピークに減少の一途をたどる一方、就業者数は女性や高齢者の就業率の上昇により、2018年5月に6698万人と、1997年6月以来21年ぶりに最多を更新した。高齢就業者数は、団塊世代の高齢化に伴って、2013年以降大きく増加している。
「大都市圏」の縮小が進む
日本の高齢化は、団塊世代が65歳を迎えた2012年以降さらに加速し、高齢化率(総人口に占める65歳以上人口の割合)は、2020年11月1日時点で28.8%となっている。2015年の国勢調査によると、人口減少や高齢化が先行していた地方は相対的に定常状態であった一方、都市部では
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