続報 OTC販売「2分の1ルール」撤廃、日本登録販売者協会「登録販売者が働く場面が縮小していくことを懸念」

『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌
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日本医薬品登録販売者協会 樋口会長は懸念を表明

 厚生労働省が示した省令改正案に対して、登録販売者の職能団体である日本医薬品登録販売者協会の樋口俊一会長は、以下のコメントを発表した。

日本医薬品登録販売者協会(東京都)の樋口俊一会長
日本医薬品登録販売者協会(東京都)の樋口俊一会長

 「今回のパブリックコメントは体制省令に明記されている『2分の1ルール』の完全廃止に関する内容です。ご存知の通り、『2分の1ルール』は登録販売者の配置基準でもあり、営業時間の2分の1以上の時間は登録販売者を配置させて、第2類、第3類医薬品を販売させなければならないというルールです」

 「コンビニエンスは概ね24時間営業ですので、医薬品を販売するためには12時間以上、登録販売者を常駐させ、医薬品の販売管理はもとより、医薬品の陳列・保管管理、構造設備の管理、販売員の管理等々をさせなければなりません。それを実際に運用するためにはパート・アルバイトを活用して4~5名の登録販売者が必要になります。その配置基準が完全廃止されるというパブコメがだされたということです」

 「さらに、昨年12月に政府の規制改革推進会議で決定した『当面の規制改革の実施事項』には、『2分の1ルールの廃止』に合わせて、『情報通信機器を活用した一般用医薬品の管理及び販売・情報提供について2020年度中に早急に検討する』旨の提言がだされています。これは、分かりやすくいえば、オンライン等を活用して遠隔地からのリアル店舗の医薬品等々の管理を行えるようにしたいというものです。この件については、今後、検討していくことになっていますが、仮に『2分の1ルール』が廃止され、オンラインによる遠隔管理が可能になると、リアル店舗には一人の登録販売者がいなくても成り立つことになります。そのために『2分の1ルール』の廃止についてとても危惧しているところです」

 「国は社会保障制度改革の中で、国民の大きな痛みを伴う『給付と負担の見直し』を進めています。今国会でも後期高齢者の2割負担について審議され、2022年10月以降から段階的に実施される方向で進んでいます。それと同時に進められているのがスイッチOTC化の促進などをはじめ、保険者に対してもセルフメディケーションの推進を強く打ち出しています。それを担っていくのは登録販売者であることは間違いのないことです。そういう中で、2分のⅠルールの廃止で登録販売者が働く場面が縮小していく事をとても懸念しています」

 日本登録販売者協会は、「2分の1ルール」撤廃が端緒となり、オンラインによるOTCの遠隔管理が認められることになれば、リアル店舗には登録販売者が不要になると危機感を募らせている。

 

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