対面型サービス消費、下押し圧力強い状態続く=日銀展望リポート

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港湾の様子
日銀は21日に公表した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で、国内の景気について、新型コロナウイルス感染症の影響で引き続き厳しい状態だが「基調としては持ち直している」との判断を示した。2017年3月撮影(2021年 ロイター/Issei Kato)

[東京 21日 ロイター] – 日銀は21日に公表した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で、国内の景気について、新型コロナウイルス感染症の影響で引き続き厳しい状態だが「基調としては持ち直している」との判断を示した。感染症への警戒感が続く中、改善ペースは緩やかなものにとどまる見通し。足元で感染が再拡大していることを受け、今回新たに「対面型サービス消費を中心に下押し圧力の強い状態が続くとみられる」との見方を加えた。

前回10月の展望リポートでは国内景気について「持ち直している」としていたが、政府が緊急事態宣言を発令する中、「基調としては」と文言を加えて判断をわずかに弱めた。海外経済は一部で感染症の再拡大の影響がみられるものの、日本の輸出や生産は「増加を続けている」と指摘。企業収益や業況感は大幅に悪化した後、徐々に改善しているとした。

2020年度の実質国内総生産(GDP)の政策委員見通しの中央値は前年比マイナス5.6%で、前回のマイナス5.5%からわずかに引き下げられた。委員の見通しのレンジは、前回のマイナス5.6─マイナス5.3%からマイナス5.7─マイナス5.4%へシフトした。21年度の見通しについては、政府の経済対策効果などを見込み、前回のプラス3.6%からプラス3.9%に引き上げられた。

20年度の消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)の政策委員見通しはマイナス0.5%で、前回のマイナス0.6%から小幅に引き上げられた。21年度もプラス0.5%とし、前回のプラス0.4%からわずかに引き上げられた。今後、経済の改善に伴って物価への下押し圧力が次第に弱まると予想。原油安の影響も剥落していくとみている。

GOTOトラベル事業のCPIへの直接的な影響は、20年度がマイナス0.2%ポイント、21年度がプラス0.1%ポイントになると試算。携帯電話通信料金の引き下げや新プランの設定については今回の物価見通しには織り込んでいない。

先行きの見通しは新型コロナの帰趨や内外経済に与える影響の大きさによって変わり得るため「不透明感が極めて強い」と指摘。引き続き、リスクバランスは感染症の影響を中心に「下振れリスクの方が大きい」とした。

金融システムは全体として安定性を維持し、金融仲介機能は円滑に発揮されていると評価している。ただ、この先、感染症の影響が想定以上に大きくなった場合は、実体経済の悪化が金融システムの安定性に影響を及ぼし、それが実体経済へのさらなる下押しリスクがあるため、注意が必要とした。

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