[北京 18日 ロイター] – 中国国家統計局が18日発表した2020年第4・四半期の国内総生産(GDP)は前年同期比6.5%増と第3・四半期の4.9%増から伸びが加速し、ロイターがまとめたエコノミスト予想(6.1%増)を上回った。新型コロナウイルスの影響で打撃を受けた厳しい年を驚くほど良好な状態で締めくくり、2021年には景気はさらに拡大する見通しだ。
2020年のGDPは前年比2.3%増加し、多くの国が新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受ける中、主要国で唯一プラス成長を維持した。
ANZ(上海)のエコノミスト、XING ZHAOPENG氏は「一部のセクターは依然として回復局面にあるものの、GDPが予想を上回ったことは、中国経済が拡大局面に入ったことを示している」と指摘した。
湖北省武漢を発生源とする新型コロナの感染が国内で拡大する中、第1・四半期には成長率がマイナス6.8%に落ち込んだが、厳しい感染抑制策と政策支援を背景に中国経済は着実に回復してきた。
輸出セクターが予想以上の底堅さを示し、成長のけん引役となっている。
ただ昨年の成長率は1976年以来の低水準となり、新型コロナによる世界的な影響の大きさを反映した。
第4・四半期GDPは前期比では2.6%増加。市場予想は3.2%増だった。第3・四半期は3.0%増に改定された。
20年の小売売上高は3.9%減少し、1968年以来のマイナスを記録。国内消費の弱さを反映した。12月の小売売上高は前年同月比4.6%増と予想の5.5%増を下回り、11月(5.0%増)から鈍化した。衣料品、化粧品、通信、自動車が伸び悩んだ。
一方、12月の鉱工業生産は前年同月比7.3%増と2019年3月以来の高い伸びを記録。ロイターがまとめたアナリスト予想の6.9%増を上回った。9カ月連続の増加。製造業は好調な輸出を背景に新型コロナウイルス危機からの回復が続いている。11月は7.0%増だった。
2020年の固定資産投資は前年比2.9%増。予想は3.2%増だった。1ー11月の2.5%増から加速した。
国家統計局の寧吉哲局長は記者会見で、足元の新型コロナウイルス感染再拡大による中国経済への影響は制御可能だとの見方を表明した。中国にはコロナ抑制の経験と能力があるとした。
国内市場は巨大で、サプライチェーンもしっかりしているとし、当局は多くの好ましい条件が今年の景気回復を支えると見込んでいると続けた。
21年も漂うリスク
中原銀行(北京)のチーフエコノミスト、Wang Jun氏は「2021年は以下の問題に警戒するべきだ」とし、「まず、景気回復の不均衡だ。投資や輸出に比べ、消費は全体として弱く、まだ正常な水準に戻っていない」と指摘。「2つ目は過剰で急激な信用収縮の問題だ」と続けた。
このところ新型コロナの感染が北東部を中心に拡大していることから来月の旧正月を前に経済活動や消費への影響を懸念する声も聞かれている。
INGの中国担当チーフエコノミスト、アイリス・パン氏は「人の移動を制限する措置の導入が始まっており、広範な感染拡大のリスクは低いとみられる」と述べた。
ただ、その上で「米国が一部の規制を解除しなければ、中国と一部の国の間でテクノロジー戦争のリスクが残る」と指摘した。