全国CPI11月は10年ぶり下落幅、光熱費やGoToなどで下落止まらず

ロイター
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都内の上空から撮影されたスクランブル交差点
12月18日、総務省によると、11月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く、コアCPI)は101.2となり、前年同月比0.9%低下した。ロイターの予測と一致した。東京都で4月19日撮影(2020年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 18日 ロイター] – 総務省によると、11月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く、コアCPI)は101.2となり、前年同月比0.9%低下した。ロイターの予測と一致した。消費増税による押し上げ効果が一巡した10月から物価全般は再びマイナス圏となっており、コアCPIも11月に下落幅が一段と拡大して2010年9月以来の大幅低下となった。光熱費の下落に加えて宿泊料や携帯料金引き下げなど政策的要素もあり、下落は止まりそうにない。

11月の下落幅拡大の主因はエネルギー価格で、電気代が前年比7.3%の下落、ガス代も4.5%の下落、ガソリン代も下落している。コアCPIからエネルギーを除いた総合指数でみると、前年比0.3%の低下にとどまっている。

このほかにも、教育無償化の影響により、大学授業料(私立)も4.3%の下落。宿泊料は前年比34.4%の下落となり、10月よりやや下落幅が縮小。「GoToトラベル」などの利用がによる需要回復が寄与したとみられるが、それでも大幅な下落が続いている。上昇した主な項目は通信費やたばこ代などにとどまっている。

農林中金総合研究所の南武志・主席研究員は11月の下落要因について、政策的要因が目立つことから、「需給環境とは直接的には関係がないように見えがちだ。しかし、エネルギーは日本を含めて景気が低調だから安いと捉えるべきだし、宿泊費も政策的に引き下げることによって需要喚起が実現されているわけであり、広い意味では需要不足が反映された結果だ」とみている。

総合指数は前年比0.9%低下した。

今後の物価見通しは、GoToトラベルが年末年始に一時停止となったものの、制度そのものは継続されるほか、菅義偉首相の強い意向により携帯料金の引き下げも実施される見通しだ。また原油相場は反転しているものの、光熱費への反映は半年程度遅れる。

大和証券のチーフマーケットエコノミスト、岩下真理氏は「コアCPIは来春まではエネルギー価格の下押し、来年半ばまではGoToトラベルにより、マイナスの動きが続くことは避けられない。加えて、来年度には携帯電話通信料の引き下げが視野に入っている」との見方を示している。

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