「コロナで仕事のやり方が変わった」。食品卸大手の国分グループ本社(東京都)の國分晃社長はこう話す。従来の食品卸という枠組みではとらえられなくなっている同社はコロナ禍で食のライフラインとしての役割の重要性が増している。直近の取り組みや中長期の戦略を聞いた。
コロナ禍で、食のインフラ維持する
──新型コロナウイルス感染拡大下で、いかにして経営を執行してきましたか。
國分 ライフラインとして食のインフラを維持する重い責任を当社は担っています。そのため、全社での感染予防策に加え物流、事業継続計画(BCP)の策定を行い、感染者が発生することを想定したリカバリー策を用意しました。感染拡大が始まった3月上旬には、社員の集中を避けるために部署をフロア分けしたり、物流センターの会議室をサテライトオフィスとして準備するなど、感染リスクを避けるための策を整えました。
緊急事態宣言発令後は可能な限り在宅勤務に移行しました。当社グループにおいて50%弱の従業員が在宅勤務を行い、出勤者は時差勤務を活用するなどしました。
物流部門では感染防止策の徹底に加え、万一感染者が発生した場合はセンター停止時間を最短に抑えるための手順を整えました。フードサービス事業部が受託している介護施設への食材供給は1日たりとも止めることは許されません。バックアップ体制を整えるとともに、物流現場の一人ひとりが使命感を持ってやり遂げてくれたことが物流崩壊を起こさなかった理由だと考えています。
──コロナ禍で働き方はどのように変わりましたか。
國分 働き方改革の一環で、一昨年からテレワーク、在宅勤務制度を導入していました。
運用ルールの明確化やインフラが十分整備されていたこともあって、スムーズにテレワークに移行できたと思っています。
実際テレワークが一気に広がり、利用者はコロナ以前と比べ5倍以上になりました。また商談や社内外の打ち合わせはウェブを使ったミーティングに置き換えられることをだれもが体験し、理解できたことは非常に大きいでしょう。テレワークでは資料の電子化は必須。資料のつくり方、共有の仕方が変わり業務の効率化も進みました。
──下期の流通市場において、経営環境はどう変化すると見ていますか。
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