[東京 11日 ロイター] – 財務省が11日発表した国際収支状況速報によると、6月の経常収支は1675億円の黒字となった。ロイターが民間調査機関に行った事前調査の予測中央値は1100億円程度の黒字で、予測を上回った。黒字は72カ月連続。
経常収支は、貿易収支が赤字に転化したことなどから前年同月に比べて黒字額が縮小した。
貿易・サービス収支は2350億円の赤字で、前年同月の8272億円の黒字から赤字に転化した。
貿易収支は773億円の赤字で、前年同月の7555億円の黒字から赤字に転化。輸出額の減少幅が輸入額の減少幅よりも大きかったことから、貿易収支は赤字に転じた。自動車や自動車の部分品の輸出が減少しており、地域別では、米国向け、アジア向けが落ち込んだ。
サービス収支は1577億円の赤字で、前年同月の717憶円の黒字から赤字に転化。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で国際的な人の往来がないことから、旅行収支の黒字幅が縮小した。
第1次所得収支は4264億円の黒字で、前年同月に比べて黒字幅が265億円縮小した。毎年6月は日本から海外への証券投資の配当金の支払いが大きく、第1次所得収支の黒字額も縮小する季節性がある。
第2次所得収支は、238億円の赤字だった。
第一生命経済研究所経済調査部の奥脇健史エコノミストは、世界的に経済活動が再開していることから輸出が持ち直し、7月も経常黒字が続くと予測する。「経常黒字の縮小の要因となっている貿易収支、サービス収支の赤字が改善されれば、経常収支が赤字に転化する可能性は低い」とし、恒常的な経常赤字にはなりにくいとの見方を示した。
2020年上半期の経常収支は7兆3069億円の黒字(前年同期比3兆3444億円の黒字幅縮小)だった。サービス収支が赤字に転化したことなどで、貿易・サービス収支が赤字に転化したことが背景にある。