[東京 9日 ロイター] – ファーストリテイリングは9日、2020年8月期(国際会計基準、IFRS)の連結営業利益予想を前年比49.5%減の1300億円に下方修正したと発表した。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた国内での緊急事態宣言の影響や、海外店舗の再開が想定より遅れたことで、3―5月期の業績が全セグメントで計画を下回ったことを織り込んだ。
19年9月ー20年5月の連結累計期間で減損損失を計上し、6―8月期にも追加の減損損失リスクを見込んでいるという。純利益予想も同47.7%減の850億円に下方修正した。リフィニティブがまとめたアナリストによる営業利益予想の平均は1490億円。同社は4月にも業績予想の下方修正を発表していた。年間配当予想は前年と同額の1株当り480円。
事業そのものの収益を示す事業利益は前年比43.4%減の1500億円で据え置いた。グローバルで過度な値引きを抑制したほか、経費削減を強化した。国内のユニクロ事業などや、グレーターチャイナのユニクロ事業の業績が想定を上回るペースで回復しており、予想を達成できるペースで進捗していると説明している。
19年9月─20年5月期の連結営業利益は前年同期比46.6%減の1323億円だった。新型コロナの影響を踏まえた店舗の臨時休業や営業時間短縮で各セグメントが大幅な減収減益になったほか、業績悪化で赤字店舗の固定資産や使用権資産の減損損失を152億円計上した。売上収益は同15.2%減の1兆5449億円と落ち込んだ。純利益は同42.9%減の906億円だった。
国内ユニクロ事業の3―5月の既存店売上高は(Eコマース含む)は、3月下旬から5月上旬にかけて全813店舗のうち最大で311店舗が臨時休業し、同34.0%減となった。ただ、5月中旬以降は営業の再開に伴って回復し、6月も大幅に回復したとしている。Eコマースの売上高は、デジタル広告やテレビCMでのオンラインストアへの誘導を強化したことで、同47.7%の増収となった。
海外ユニクロ事業は、すべてのエリアで大幅な減収減益となった。Eコマース売上高は増収だった。地域別では、グレーターチャイナは大幅な減収減益だったが、5月単月では前年同月比で増収増益となり「順調なペースで回復」(同社)しているという。韓国は日韓関係や新型コロナの影響で既存店売上高が大幅な減収となり、営業赤字となった。北米は3月中旬から5月末までほとんどの店舗で営業が再開できず赤字が拡大。欧州も赤字幅が拡大した。
会見した岡崎健・最高財務責任者(CFO)は米国事業について、必要な店舗とそうでない店舗を見極めて「スクラップ・アンド・ビルドを進めないといけない」と語った。
また、8日に米連邦破産法11条の適用を申請し、経営破綻した紳士服ブランド、ブルックスブラザーズの買収を検討するかとの質問に対しては、「ノーコメント」と述べるにとどめた。
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