[東京 8日 ロイター] – 内閣府が8日に発表した5月の景気ウオッチャー調査では、景気の現状判断DIが15.5で、前月比7.6ポイント上昇し、4カ月ぶりの改善となった。緊急事態宣言の解除を契機に、企業動向関連、雇用関連、家計動向関連が全て上昇した。内閣府は判断の表現を「悪化に歯止めがかかりつつある」とした。先行きも大幅上昇に転じ、持ち直しへの期待が見られる。
現状判断では「自粛要請が段階的に解除され、営業再開が順調に進み、来客数も回復傾向にある」(近畿・百貨店)と、消費者のマインド改善を前向きに受け止める声がある。一方で、ゴールデンウィークの売上高減少で痛手を受けている企業もあり、「5月前半まで休業。通常営業を復活したが、なかなか客が来ない」(東海・一般レストラン)との声もある。
また「自動車向け量産ラインは、全面的に停止状態」(北関東・一般機械器具製造業)といった声も聞かれる。
雇用面では「採用活動が停滞し、例年に比べて求人情報が激減している」(沖縄・専門学校)といった状況がある。
2─3カ月先を見る先行き判断DIは36.5で、前月比19.9ポイント上昇。6カ月ぶりに上昇した。
「自動車メーカーや工場によって、海外輸出の動きや人気車種、新型車種製造ラインの9月ごろまでの生産見通しが立っており、コロナ前の生産体制となり、やや良くなると見込む」(東海・アウトソーシング企業)と期待する声がある。
内閣府は、景気ウオッチャー調査の判断の表現を「新型コロナウイルスの影響により極めて厳しい状況にあるものの、悪化に歯止めがかかりつつある」に修正した。
先行きについては「厳しさが続くものの、持ち直しへの期待がみられる」とした。