ソニー、今期営業利益は少なくとも3割減と試算 コロナの影響広がる

ロイター
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5月13日、ソニーは、2020年3月期の連結営業利益(米国基準)は、前期比5.5%減の8454億円だったと発表した。写真はラスベガスで1月8日撮影(2020年 ロイター/Steve Marcus)

[東京 13日 ロイター] – ソニーは13日、2021年3月期の連結営業利益(米国基準)が少なくとも3割減と試算していることを明らかにした。新型コロナウイルスの影響が電機や映画など各事業に広がることを想定している。単純計算すると6000億円未満となり、熊本地震の影響があった17年3月期の2887億円以来、4年ぶりの低水準となる。

今期試算、10月以降正常化が前提

同社の十時裕樹CFOは同日のオンライン会見で21年3月期の営業利益について「連結ベースで19年度実績から少なくとも3割程度の減益となると試算している」と述べた。もっとも落ち込みが大きいのは電機で半減以下と想定。映画が半減程度で続く。ゲーム、音楽、半導体も減少を見込む。十時CFOは「あくまで一定の前提をおいた試算で、継続して利益水準の改善に努める」と説明した。

この試算では、感染拡大が6月末にピークアウトし、9月末にはコロナ影響がほぼなくなり10月以降に事業活動が正常化するとの前提条件を置いた。為替の前提は1ドル105円、1ユーロ115円とした。

十時CFOは、コロナの影響が業績に現れるスピードは事業ごとに異なるとし「電機がもっとも早く影響を受けているが今後、他分野への影響も拡大すると見ている」と話した。映画では「コロナの影響が一段落して劇場公開しても、すぐには人が戻ってこないかもしれない」とし、影響が長引く可能性があるとした。

ソニーは通期の業績予想について、コロナの影響で合理的な算定が困難として未定としており、8月に予定する4―6月期決算発表時に示す方針。リフィニティブがまとめたアナリスト18人による営業利益予想の平均は7696億円。

PS5の生産は予定通り

業績を支える半導体の在庫は、一時的に若干増加したが、3月末には適正水準に近づいたとした。生産能力を20年度末にかけて引き上げていく計画に変更はない。コロナの影響としては、スマホ市場減速のリスクや、前期に急拡大したスマホカメラの大判化のスピードが緩やかになるリスクなどがあるという。

今年の年末商戦に投入する次世代ゲーム機「プレイステーション(PS)5」の生産は「ほぼ予定通りに進んでいる」という。在宅勤務や海外渡航制限などで一部の検証作業や生産ラインの確認などで制約があるとしたが「必要な対策は講じている。年末商戦での発売に向けて遅滞なく準備を進めている」とした。

サプライチェーン体制については、コロナの感染拡大は全世界的な問題だとし「これによる具体的な生産拠点の変更は現時点で検討していない」と述べた。

前期は音楽・ゲームが減益

2020年3月期の連結営業利益(米国基準)は、前期比5.5%減の8454億円だったと発表した。画像センサーを軸とした半導体などの増益があったが、音楽やゲームが減益となった。

売上高は同4.7%減の8兆2598億円だった。スマホやテレビの販売台数が減少した電機と、ゲーム機とソフトの販売が振るわなかったゲームの売上高が減少した。営業利益は、ゲームの減益ほか、前年度にEMIの連結子会社に伴い再評価益を計上した音楽が反動で減益となった。

新型コロナの営業利益への影響は682億円のマイナスと試算した。

中国・マレーシア工場の稼働停止による供給不足や各国でのロックダウンの影響で電機が351億円、音楽はイベントの延期などで10億円、半導体は顧客の稼働停止による需要減で84億円、金融は市況悪化の影響などで280億円、それぞれマイナス要因となった。

一方、「既存のPS4は堅調に推移しており、1─3月はほぼ予定通り。足元もかなり需要は強い」(十時CFO)とした。ソフトのダウンロード販売などでゲームが28億円、デジタル販売の好調や劇場公開のマーケティング費用が減少した映画が15億円、それぞれプラス要因となり、外出自粛に伴う「巣ごもり」需要を捉えた。

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