イオン九州、26年2月期上期決算は増収増益 シェア拡大戦略の全容とは

小笠原 玲 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)

マルチフォーマットでの出店とM&Aでさらなるシェア拡大へ

 出店戦略では、重点エリアとする福岡県内で小型フォーマットの「マックスバリュエクスプレス」4店舗、フード&ドラッグの「ウエルシアプラス」3店舗のほか、オーガニック・ナチュラル・ヘルス&ウェルネス・サステナビリティをコンセプトにした新業態「b!olala(ビオララ)」など、期中は合計8店舗を出店した。業態転換やスクラップ&ビルドによる閉店は4店舗実施し、8月末時点の総店舗数は344店舗となった。

 イオン九州が成長の柱の一つに位置付ける「マックスバリュエクスプレス」は、“超小型”フォーマットでの出店が進んでいる。もともとは売場面積100150坪を標準としていたが、255月には過去最小サイズとなる約60坪の「マックスバリュエクスプレス東比恵店」(福岡県福岡市)を開業。今後、コンビニ跡地やオフィスビルの1階といった都市部の狭小立地に出店を重ね、さらなるシェア拡大を図る方針だ。下期には最小サイズを更新するかたちで、売場面積約58坪の「マックスバリュエクスプレス香椎駅前1丁目店」(福岡県福岡市)をオープンする。

マックスバリュエクスプレス東比恵店の外観
マックスバリュエクスプレス東比恵店の外観

 23年に1号店を開業した「ウエルシアプラス」の累計店舗数は、262月期中間期末時点で14店舗となった。既存店売上高は同10%超と急伸している。福岡地盤のローカルSM、ニューヨーク・エボリューションから承継した4店舗の「ウエルシアプラス」への転換も進めており、前期(25年2月期)に1店舗、上期に2店舗、下期に入ってから9月に「ウエルシアプラス門司東町店」(福岡県北九州市)をオープンし、すべての店舗で転換を完了した。ウエルシアプラスについては今後、他社・他業種撤退後の跡地を中心に出店を進める考えだ。

 また、7月に長崎県内でSM10店舗を展開するジョイフルサン(旧ジョイフルサンアルファ)を子会社化した。これを足掛かりに、イオン九州はジョイフルサンのプロセスセンターの活用や商品調達の統合を進め、手薄だった長崎県内でのシェア拡大をねらう。11月以降には「ジョイフルサン」へのイオンPBの導入や店舗システムの共通化を進める計画だ。さらに長崎県内では下期に「マックスバリュ」2店舗の新規出店も予定している。

 262月期通期の連結業績予想は期初の公表値を据え置き、営業収益5510億円(同3.6%増)、営業利益106億円(同0.6%増)、経常利益101億円(同8.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益53億円(同13.2%減)を計画する。

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記事執筆者

小笠原 玲 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

早稲田大学文学部(ドイツ哲学専攻)を卒業後、教育系の編集プロダクションで国語の入試問題の制作を担当。2024年、ダイヤモンド・リテイルメディアに入社。

休日の大半を台所で過ごすほど、無類の料理好き。得意な料理は、出汁巻き卵と切り干し大根の煮物。料理研究家の土井善晴氏を尊敬している。

趣味は、ミニシアターで映画をみること。音の大きな映画が苦手で、日常を切り取ったような変哲のない映画やドキュメンタリー映画を好む。見た作品のリーフレットを持ち帰り、コレクションしている。

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