MD刷新が奏功し増収増益で着地! サミットの25年3月期決算をレポート

関川 耕平 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)
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サミット(東京都/服部哲也社長)は57日、20253月期(24年度)の通期決算を発表した。仕入れ、値決め方法の変更など商品政策(MD)の刷新や、原材料高騰の影響で一時的に売上総利益率を落とし、上期決算では2ケタ減益となった同社。下期以降は試行錯誤したMDが軌道に乗ったことで利益率が大きく改善、通期は増収増益で着地した。

サミットストア松戸新田店

仕入れと値決めを見直し利益率を改善

 サミットの24年度の通期決算は、営業収益が3642億円(対前期比4.4%増)、営業利益が76億円(同27.9%増)、経常利益が75億円(同24.6%増)、当期純利益が50億円(同23.8%増)だった。

 期中は249月に「エミテラス所沢店」(埼玉県所沢市)を出店した一方、246月に「西小山店」(東京都品川区)を建替えのため一時閉店、2412月に「綾瀬タウンヒルズ店」(神奈川県綾瀬市)を閉店したことで、期末の総店舗数(※)は期初から1店舗減り、137店になっている。

※衣料品店「コルモピア」の単独店および他社併設店合計14店を含む

 既存店売上高は同3.9%増。買上点数が同2.1%減となったものの、1点単価が同3.9%増となったことで客単価は同1.7%増となった。また、客数も同2.2%増と好調に推移した。

 商品部門別の売上高は、生鮮食品が同4.7%増、とくに青果が同7.1%増と大きく伸長した。総菜・ベーカリーは同3.8%増、その他食品は加工食品と菓子が好調に推移したことで同5.0%増となった。家庭用品・衣料品他も同0.2%増と伸長している。

 サミットは24年度、部門ごとの仕入れ・値決め方法の変更、AIによる需要予測の導入などによる利益率の改善に取り組んできた。

 具体的には、青果のすべての商品で、発注から納品までのリードタイムを延長した。これにより、より高い鮮度の商品を適正な価格で販売できるようにした。また、精肉はメーカーを通じて仕入れていた輸入原料を、商社を介した直接輸入に変更するなど、原価が高騰する中で粗利益率の向上に努めた。このほか、AIによる需要予測をもとにした自動発注を全店で導入し、発注頻度を減らすことでコスト削減につなげた。

 これらの取り組みにより、24年度通期の売上高総利益率は28.1%と前期から0.1ポイント(pt)上昇。販管費率も29.6%と前期から0.4pt改善し、増益に大きく寄与した。

 決算発表の会見で服部社長は「上期は大幅な減益となったが、通期としてはよい結果で終えられた。われわれは同業他社と比べて新店出店が多いわけではない。しかし、既存店の販売力が強まり、増収増益という結果になったことは自信につながっている」と述べた。

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記事執筆者

関川 耕平 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

1995年生まれ。同志社大学文学部英文学科卒業。

24年に株式会社ダイヤモンド・リテイルメディアに入社し『ダイヤモンド・チェーンストア』の担当編集者となる。

趣味はクライミングとコーヒーを淹れること。特技と悩みは浪費と早食い。

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