ヤオコー、25年3月期も2ケタ増収増益で絶好調! HD体制移行後の成長戦略は?

小笠原 玲 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)
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ヤオコー(埼玉県/川野澄人社長)は5月12日、2025年3月期の通期決算を発表した。出店エリアを南北に分けて売場づくりや品揃えを地域の特性に対応させる「南北政策」や、生鮮部門の強化などの取り組みが効果をあげ、連結業績は2ケタの増収増益、単体では36期連続の増収増益を達成した。今年10月にはホールディングス(HD)体制への移行を予定する同社。体制変更により情報共有や人材育成を促進し、グループシナジーの最大化をねらう。

「南北政策」や生鮮部門の強化などが奏功 

 ヤオコーの253月期の連結業績は、営業収益が7364億円(対前期比18.9%増)、営業利益が334億円(同13.9%増)、経常利益が325億円(同12.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が201億円(同10.6%増)となり、2ケタの増収増益を達成した。単体では36期連続となる増収増益を記録し、安定成長を続けている。

 ヤオコー単体の既存店売上高は同6.0%増。客数は同3.1%増加し、客単価も同2.7%上昇した。点数PI値(100人当たりの買い上げ点数)は同0.7%減少したものの、コメや野菜などの価格高騰により一品単価が同3.5%上昇し、結果として客単価・売上高を押し上げた。

 既存店好調の要因としては、インフレ下での価格政策や生鮮部門の強化、コメ不足への対応などが挙げられる。生鮮強化では、たとえばミニトマトではSKU数を絞ることで在庫の回転率を高めるとともに、日付管理を徹底して商品鮮度を維持するなどの取り組みを行った。従前から取り組んでいる、出店エリアを南北に分けて地域特性にあわせた売場づくりや品揃えを実施する「南北政策」も好業績に寄与している。

北の旗艦店「久喜久喜吉羽店」では全国各地から味噌を取り揃えてコーナー化。メーン客層のミドルシニア層に訴求する
北の旗艦店「久喜吉羽店」では全国各地から味噌を取り揃えてコーナー化。メーン客層のミドルシニア層に訴求する
青果部門で最も販売を強化しているトマトコーナー
青果部門で最も販売を強化しているトマトコーナー

 出店戦略では、「ヤオコー武蔵浦和店」(埼玉県さいたま市)、「エイヴィ平塚店」(神奈川県平塚市)など、期中にグループ全体で9店舗を新規出店した。また、「ヤオコー深谷国済寺店」(埼玉県深谷市)など6店舗の既存店を改装したほか、1店舗をスクラップ&ビルドで出店。期末店舗数(連結)は計239店舗となった。

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記事執筆者

小笠原 玲 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

早稲田大学文学部(ドイツ哲学専攻)を卒業後、教育系の編集プロダクションで国語の入試問題の制作を担当。2024年、ダイヤモンド・リテイルメディアに入社。

休日の大半を台所で過ごすほど、無類の料理好き。得意な料理は、出汁巻き卵と切り干し大根の煮物。料理研究家の土井善晴氏を尊敬している。

趣味は、ミニシアターで映画をみること。音の大きな映画が苦手で、日常を切り取ったような変哲のない映画やドキュメンタリー映画を好む。見た作品のリーフレットを持ち帰り、コレクションしている。

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