減り続ける歳暮ギフト 自分に贈る「プチ贅沢」への転換で生まれ変われるか?

宮川耕平(日本食糧新聞社)
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プチ贅沢の場には「ワケあり商品」

髙島屋は塩釜焼きのローストビーフを塩の塊のまま届け、食べる前に木槌で割る演出までを含めた、コトイベントとしての商品提案を行う
髙島屋は塩釜焼きのローストビーフを塩の塊のまま届け、食べる前に木槌で割る演出までを含めた、コトイベントとしての商品提案を行う

 あとは歳末のプチ贅沢シーンにふさわしい商品として、ワケを作り込むことです。百貨店は、食べてみたい・見てみたいと好奇心をくすぐる商品開発に力を入れています。ネットやカタログを通じて商品の背景ストーリーを伝えようとする工夫も進んでいます。ギフトカタログの巻頭に掲載されるそれらの商品は、全体が漸減する中でも数字を伸ばしている場合が少なくありません。

 さらに消費税が複数税率になった今年は、外食を豪華に楽しむよりも、税率8%で済むギフトを使って、自宅でプチ贅沢を楽しもうという気運がありそうです。そこに百貨店は賭けています。

 髙島屋は「自宅でゆっくり」、大丸松坂屋は「仲食(なかしょく)」、松屋銀座は「おうちで贅沢ごはん」を歳暮ギフトのキーワードにして内食を訴求します。商品のワケも、ただ高級というだけではありません。塩釜焼きのローストビーフを塩の塊のまま届け、食べる前に木槌で割る演出(髙島屋)だったり、春が旬と思われがちなサワラ(鰆)を、脂が乗っている秋にしゃぶしゃぶで食べる提案(松屋銀座)だったり、三崎マグロの鍋セット(そごう横浜)など、見た目や食材、地域性に加え、料理としても斬新さがあります。食卓にその商品があれば、話題になる、見栄えがする、テンション上がる、そんな価値をもたらします。

 百貨店による自家需要の開拓はここ何年かのトレンドですが、今年は増税の追い風があります。2019年は歳暮という催事の中身が変わった起点として記憶される・・・かどうかは分かりませんが、市場創造のチャンスはあるように思います。

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