[特別レポート]韓国食材(K-FOOD)最前線レポート

ダイヤモンド・リテイルメディア 流通マーケティング局
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韓国産「えごまの葉」、2018年から日本輸出が本格的に開始

▲韓国国内でも革新的な取り組みを行うマニンサン農協
▲韓国国内でも革新的な取り組みを行うマニンサン農協
▲韓国では食材としてさまざまな料理に使われている「えごまの葉」
▲韓国では食材としてさまざまな料理に使われている「えごまの葉」

 「えごま」は大葉などと同じ一年草のシソ科植物で、大葉とよく似た葉をした植物だ。日本では、健康志向の高まりから、「えごま」の種子を絞った「えごま油」がα-リノレン酸を豊富に含む油として知られている。しかし、韓国では「えごまの葉」を食す文化がある。サムギョプサルのように肉を包んだり、サラダに入れる葉物野菜、チヂミの食材として扱われている。

 今回は「えごま」の産地、錦山郡にあるマニンサン農協を取材した。マニンサン農協は、農家の方々の平均所得1億ウォンという他農家の2倍の所得目標を掲げ、また「えごまの葉」の新たなパッケージ形態の開発まで手掛けるなどマーケティングにも力を入れる韓国でも革新的な農協だ。現在は「えごまの葉」を中心に242品目257種類の商品を販売している。

▲(左)さまざまな形態で出荷される「えごまの葉」生産者の顔が見える商品もある。(右)葉物野菜としても需要も高い「えごまの葉」
▲(左)さまざまな形態で出荷される「えごまの葉」生産者の顔が見える商品もある。(右)葉物野菜としても需要も高い「えごまの葉」
▲人の手で摘まれる「えごまの葉」
▲人の手で摘まれる「えごまの葉」

 現在は香港やシンガポール、アメリカにまで輸出を行っている。日本においては2018年に「えごまの葉」の日本輸出の道が本格的に開かれ、日本輸出拡大MOU締結を通じて、生鮮農産物の生産・流通・輸出、そして日本への輸入の段階別協業体系を構築。日本国内の焼き肉チェーン店約1万5000店、韓国料理店など大量需要先の発掘と輸出を通じ5年以内に500万ドルの輸出を目標にしている。

 現在、日本国内でも若干スーパーマーケットの店頭にも並ぶようになったが、大葉に比べるとその消費量はかなり少ない。しかし、日本でも韓国豚肉料理のサムギョプサルが普及したことから、韓国産「えごまの葉」も肉を包んで食べる葉物野菜としての需要の高まりから、日本での消費拡大も期待されている。

 「えごまの葉」の普及には、「えごま油」の認知度を生かしながら、今後は食材としてどのように食べるのかなどのレシピ紹介が必須となる。韓国農水産食品流通公社では、女性タレントや人気のインスタグラマーを起用したレシピサイトを設けるなど「えごまの葉」の認知拡大に努めている。

春先に日本の食卓をにぎわす
新たな果物として注目を集める「チャメ(別名マクワウリ)」

▲ロボットアーム自動積載システムを導入するなど最新鋭の設備を備えたウォラン農協流通センター
▲ロボットアーム自動積載システムを導入するなど最新鋭の設備を備えたウォラン農協流通センター
▲ロボットアーム自動積載システム
▲ロボットアーム自動積載システム

 「チャメ」は別名マクワウリと呼ばれ、韓国では昔から親しまれている一般的な夏の果物だ。チャメの原種は西洋系のメロンと東洋系チャメに分かれて発達した。

 「チャメ」の韓国最大の原産地は星州郡。ここで栽培される「チャメ」は糖度が15%以上。歯ざわりがよい食感で、舌先で溶けるような新鮮さもある。星州産「チャメ」の栽培と出荷を一手に担うウォラン農協流通センターを視察した。

▲シャキッとした食感と甘さを感じられる果物として販売される
▲シャキッとした食感と甘さを感じられる果物として販売される

 「チャメ」は主に3月から6月の生産量が多く、いちばんおいしい時期でもある。韓国では食後のデザートとして飲食店や一般家庭などでも多く食べられている。「チャメ」はナイフで皮を剥き、種も含めてそのまま食べられるなど食べ方も簡単でシャキッとした食感と甘さを感じられる果物だ。

▲韓国国民に親しまれている「チャメ」小売業には個包装にして販売される
▲韓国国民に親しまれている「チャメ」小売業には個包装にして販売される
▲大切に収穫される「チャメ」
▲大切に収穫される「チャメ」

 「チャメ」はビニールハウスで栽培され、人の手によってひとつひとつ、大切に収穫される。ウォラン農協では、高品質な商品を供給するために選別者の品質管理教育に力を入れている。また、近年は韓国国内だけではなく日本やシンガポール、香港などのアジア地域への輸出にも力を入れている。日本へも2018年は25トンの輸出を行うなど、シンガポールの58トンに次ぐ実績を上げている。現在、コストコ ジャパンや静岡のスーパーマーケットマキヤに導入されている。まだまだ認知度の低い果物ではあるが、春先に日本の食卓をにぎわす新たな果物として注目を集めそうだ。

▲選別場内部の低温システムの導入で鮮度を確保している
▲選別場内部の低温システムの導入で鮮度を確保している

 

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おやつとしても人気「半生干し柿」

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