緊急現地レポート  セブン-イレブン沖縄進出!ローソン、ファミマと真逆の商品政策の理由と勝算

2019/07/12 05:00
    雪元 史章 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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    沖縄県民は「内地の商品」を求めている? 

    セブン沖縄 店内の様子
    那覇市内にオープンしたセブン-イレブンの店内

     ただ、売場を見てみると、ファミリーマートやローソンに比べて“沖縄らしさ”が感じられるオリジナル商品はそれほど多くない印象だ。これには、れっきとした理由がある。

     セブンイレブンは沖縄への出店に先立って、内地と同様に綿密な市場調査を実施している。その一環として、約1万人に対して「街頭アンケート」を行い、セブンイレブンにどのような商品を期待しているのか、県民に直接聞き取り調査を実施した。

     大多数の人が「沖縄の味」を求めているのかと思いきや、結果は意外なものだった。「およそ6割の方から『内地のセブンイレブンで売っている商品が食べたい』という声が上がった」(広報)のだ。

     これまで店舗はなかったものの、セブンイレブンのブランドパワーは沖縄でも決して小さくない。オープン日の早朝から、多くの人が列をなしたことからもそれは明らかだろう。そして、沖縄の人々が求めるのは、“沖縄らしい商品”ではなく、テレビやSNSなどで話題となっているセブンイレブンの人気商品だったのだ。

    ファミマ、ローソンと逆行するMDは成功するか 

     こうしたマーケティング調査の結果を踏まえ、セブンイレブンは内地の店舗でのMDをベースとしながら、総菜やホットスナックなどで地域限定商品を差し込む形をとった。この戦略は、“沖縄色”を強く打ち出すファミリーマートやローソンとは一線を画したものだ。ファミリーマートにいたっては、「中食商品の7割程度は地域限定商品もしくは沖縄向けに味つけを変えている」(沖縄ファミリーマート広報)ほどで、ほとんど逆行していると言ってもよいくらいだ。

    沖縄ファミリーマート おにぎり
    沖縄ファミリーマートでは、中食商品の約7割が地区限定商品だ

     もっとも、どちらの戦略が正しいのかは現時点ではわからない。セブンイレブンのマーケティングや商品開発の精度の高さは言うまでもないが、ファミリーマートやローソンにも、これまで20年以上にわたり沖縄で培ってきたノウハウがある。最後発となったセブンイレブンが先行2社の牙城を崩すのか、はたまた戦略の転換を迫られることになるのか。セブンイレブンの手腕が問われる夏になりそうだ。

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    記事執筆者

    雪元 史章 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

    上智大学外国語学部(スペイン語専攻)卒業後、運輸・交通系の出版社を経て2016年ダイヤモンド・フリードマン社(現 ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。企業特集(直近では大創産業、クスリのアオキ、トライアルカンパニー、万代など)、エリア調査・ストアコンパリゾン、ドラッグストアの食品戦略、海外小売市場などを主に担当。趣味は無計画な旅行、サウナ、キャンプ。好きな食べ物はケバブとスペイン料理。全都道府県を2回以上訪問(宿泊)。

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