データで見る流通
サラダがメーン料理化、シニア層にはメニュー提案の余地あり

2016/08/01 00:00
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    文=今井 孝典

    共同印刷 トータルソリューションオフィス マーケティング企画部 担当課長

     

     流通小売業界では、POSデータが販促計画に利用されている。しかし「何が購入されたか」は把握できるものの、「どのように食べられたか」を知ることは困難である。共同印刷(東京都/藤森康彰社長)は、全国約5000人のモニターから毎回の食事データを画像とアンケートで収集する「リア食」を運営している。リア食を利用することで、生活者のリアルな食卓の実態を調査することが可能である。今回は、リア食の収集データを活用して、健康需要の高まりから注目されている「サラダ」の食卓動向について報告する。

     

     は、年代別と時間帯別の「サラダ出現率」、「種類別出現率」(サラダがどのように登場したか)、「食材数別出現率」(サラダに何種類の食材が使用されていたか)」を表したものだ。

     

    表●年代別・時間帯別のサラダ出現率(2016年5月)

     

     10~20代の傾向を見ると、サラダを「あまり食べない」「少数品目を多く食べる」ということがわかる。全体的に自炊することが少なく、サラダにおいても同様である。空腹を満たすために少数品目のサラダを大量に食べることもある。つくり置きサラダが食品保存容器ごと食卓に登場するケースも多く、容器ごとお弁当として持ち出されることもある。

     

     30~40代は「さまざまなサラダ料理にチャレンジする」世代であることが推測できる。

     

     使用する食材の品目数は多く、レシピのバラエティーも豊富だ。女性は1人で食事するシーンにおいて、大量の野菜に炭水化物を少々使用した、サラダをメーンにした料理にすることもある。会社に弁当を持参するケースも多く、その中にサラダを入れることも多い。サラダだけの「サラダ弁当」にする人も見受けられる。

     

     50~60代については、「定番の小鉢を食べ続ける」傾向が出ている。世代別で見ると、サラダの登場頻度は最も高い。

     

     一方で、30~40代のようにサラダがメーン、あるいはレシピのバリエーションが豊富というわけではなく、定番の小鉢が高頻度で食卓に上がっている。サラダに使用する食材は、レタス+トマト+キュウリが多い。食卓の見栄えを気にする世代でもあり、食品保存容器がそのまま食卓に登場する頻度は少ない。30~40代と2世帯同居をしているケースでは、30~40代の影響を受けてレシピのバリエーションが増える傾向にある。

     

     サラダを食べるシーンにおいては、30~40代の食べ方が最も変化に富んでいることがわかる。健康・美容志向とも相まって、「サラダのメーン料理化」が進んでいると考えられる。一方で、50~60代はサラダの登場頻度こそ多いものの、食べ方は定番化されており、新しいメニュー提案ができていないともいえる。

     

     50~60代におけるサラダ消費量拡大の一つの方向性は「メーン料理化」であり、糖質や炭水化物を減らす必要がある人がターゲットになるだろう。このように、食卓からの調査はPOSデータとは異なる視点を与えるものである。

     

     消費者の需要が個別化するなか、マーケティングはいかに実態を把握するかがポイントになるだろう。

     

     

    (「ダイヤモンド・チェーンストア」2016年8/1,8/15合併号)

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