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シニア女性の関心が高まる「ロコモティブシンドローム」

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文=土井 晴子

日本能率協会総合研究所 グローバル事業部 消費者研究部 研究員

 

 ロコモティブシンドローム」という健康用語を気にしているシニア女性が増加している。

 

 「ロコモ」と略されることが多いロコモティブシンドロームは、加齢に伴う骨・関節・筋力などのさまざまな運動器の衰えや障害のことである。寝たきりや要介護の主要な原因とされ、近年、注目を集めている。

 

 しかしながら、さまざまな健康用語の中では、年々関心が高まってきているとはいえ、一般の生活者に広く浸透しているとは言えない。

 

 日本能率協会総合研究所は毎年、健康意識について調査を行っている。最新の調査「健康ニーズ基本調査2014」で、健康用語52項目を挙げ、気になるものを答えてもらったところ、「ロコモティブシンドローム」は44位、全体では6.5%にすぎなかった。上位に入った健康用語を見ると、「体脂肪」が6割を超えて1位、次いで「内臓脂肪」「デング熱」「有酸素運動」「基礎代謝」が4割弱で続く。

 

 「ロコモティブシンドローム」を気にしている比率の推移を性別・年代別に見ると、女性60代・50代では5年間で10ポイント以上増加、女性70代でも3年間で5ポイント以上増加した。男性50~70代でも増加傾向である。シニア女性では、ロコモという言葉への関心が1割台半ばまで高まった。

 

 健康についての考え方や行動をみると、「将来の健康には不安がある」という意識は、男女とも50代に向かって急速に高まり、50代が健康不安のピークとなる。60代になると、不安は少し落ち着きを見せる。代わって、「いつまでも元気でいたいので、健康には気づかっている」が60代になると男女とも半数を超え、70代では7割前後に達する。健康を気づかうかどうかを聞いた質問でも、男女とも60代・70代では気づかう人が8~9割と非常に高い。いつまでも元気でいたい、近い将来なるかもしれない寝たきりや要介護をできるだけ避けたい──このような、いかに健康寿命を長くするかという長寿健康意識が、70代男女の健康を気づかう行動原理となっているものと推測される。

 

 別の質問で、健康のために食生活で行っていることを聞いた。「乳製品を食べる」は、全体で34%の人が意識している。2010年から14年にかけての5年間は3割前後の水準であるが、11年に29%と下がった以降は14年まで微増を続けている。その中でシニアを見ると、女性60代で11年から14年で26ポイント上昇したほか、女性70代で12年から14年で15ポイント上昇した。

 

 健康のために「肉を食べる」は、全体では20%、12年から13年にかけて5ポイント以上上昇し、14年は高水準が続いた。シニアを見ると、12年から14年で男女とも70代では10ポイント以上上昇、女性60代では15ポイント上昇、男性60代でも5ポイント以上上昇しており、この3年間で急速に意識され始めている。

 

 シニアの間では「乳製品」「肉」といったたんぱく質をきちんと食べる意識が高まっているのだ。健康寿命を維持したいと切実に願っている年代の男女では、ロコモが浸透しつつある。しかし、ロコモという言葉そのものよりも、筋肉などの運動器の働きを維持して健康寿命を伸ばそうという考え方やたんぱく質を摂って元気を維持しようという行動が広まりつつあるようだ。

 

 

「健康ニーズ基本調査2014」調査概要
http://www.jmar.biz/life/life16.html
※70代は2012年以降調査対象に追加。時系列比較、全体、男性・女性では、過去の調査対象と揃え、10~60代計(有効回収数1055人)で分析した
調査対象 首都圏在住の15~79歳の男女個人
調査方法 日本能率協会総合研究所「モニターリサーチ・システム」利用によるFAX調査
有効回収数 1249人(発送数1800人、有効回収率69.8%)
調査実施日 2014年9月25日~30日

 

 

(「ダイヤモンド・チェーンストア」2015年6/15号)

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