小売業のデジタルマーケティング最前線:デジタルマーケティングとは?

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イオンとセブン&アイのデジタル強化

 イオンは2020年度(21年2月期)に向けた中期経営計画で、「4つのシフト」と「3つの改革」の大方針を掲げた。大方針の中で、EC売上高を1兆2000億円に引き上げる「デジタルシフト」、マーケットプレイスの新設や店舗のデジタル化などの「デジタル改革」を挙げている。

 セブン&アイ・ホールディングスも、19年2月期からデジタル戦略を本格稼働している。その第1弾として、18年6月にはセブン-イレブンとイトーヨーカ堂のスマホアプリを刷新した(「セブン-イレブンアプリ」、「イトーヨーカドーアプリ」)。顧客を統一IDで結び、グループを横断して顧客データを取得し、商品開発や個人の属性に合わせた商品・サービスの提案に生かしている。

 さらに9月には商品本部を分割させるかたちで「デジタル・サービス本部」を新設。アプリだけでなく、現在北海道で実験している宅配サービス「ネットコンビニ」や、新たな決済サービス「セブンペイ」などの本格導入に向けた準備も進めていく考えだ。

デジタルマーケティングは、売れる仕組み作り

 最近、企業戦略の一貫で「デジタル」の言葉が使われるようになっている。デジタルは昔からある言葉だが、最近は、特に「デジタルマーケティング」という戦略として使われている。

 ではデジタルマーケティングとは何かを簡単に整理しておこう。デジタルマーケティングとは、インターネットやIT技術などのデジタルを活用したマーケティング手法のことである。では、従来の「Webマーケティング」とはどこが異なるのか。Webマーケティングは、Webサイトの中で収集した情報を活用するマーケティングのことである。一方、デジタルマーケティングは、Webサイトを含め、Eメール、SNS、アプリケーションなど、幅広いチャネルを利用して得られるデータを活用して展開される。

 また小売業においては、ポイントカードなどを利用して、店頭で利用された時点で得られた情報を活用したマーケティングも、デジタルマーケティングの一つである。その意味で、現在政府が導入を推進するキャッシュレス決済サービスも、単に利便性を追求するだけでなく、そこから提供されるデータを活用したマーケティングに生かすことが期待されている。

 さらに付け加えると、デジタルマーケティングは、デジタルで得られた情報のマーケット調査に留まらない。SNSなどを利用したデジタルマーケティングの特徴には、双方向性と即時性がある。デジタルマーケティングでは、瞬時にユーザーの特性を分析し、ユーザーの嗜好に合わせた提案を行うような「売れる仕組み作り」を指す。

 こうしたデジタルマーケティングを可能にしているのは、スマートフォンの普及と、それに伴うアプリやSNSの利用拡大、そして膨大な量の情報を処理するビッグデータと、AIの開発がある。AI時代の突入で、複雑化する消費者行動を予測することができるようになっている。

 次号以降では、流通業界におけるデジタルマーケティングへの取り組み事例を紹介する。

記事執筆者

ダイヤモンド・リテイルメディア 流通マーケティング局 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア

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