‟超”拡大する冷凍食品市場 食卓の異変と冷食の進化、小売業の新しい売場づくりとは

湯浅 大輝 (ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
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SMでは冷凍食品が絶好調

図表❶食品スーパーのカテゴリー別売上推移

 20年から始まったコロナ禍による内・中食需要の高まりは食品スーパー(SM)に「特需」をもたらした。そのなかでもとくに好調だったのが冷凍食品である。日本食研ホールディングスの社内シンクタンクである食未来研究室によると、SMのカテゴリー別売上推移では、冷凍食品が総菜、レトルト食品など他の即食系商品を抜き、ダントツで売上を伸ばしている(図表❶)。19年12月を基準にしたときに、冷凍食品の売上は22年10月に16%伸長、総菜は7%、レトルト食品は8%と、中食カテゴリーの中でも、冷凍食品が最も伸び率が大きいと言える。またSM1店舗当たりの冷凍食品の平均売上規模は21年に約3180万円と、19年の約2871万円から300万円以上増えているのだ(KSP-SP「KSP-POS」より食未来研究室分析)。

図表❷食品スーパー1店舗あたりの冷凍食品の分類別売上推移 そんな絶好調の冷凍食品の中で、カテゴリー別に売上を分析すると、とくに「即食」ニーズを満たす「冷凍総菜」の伸びが著しいことが分かる(図表❷)。チルドの総菜と比べて、一般的に保存が利く点が支持を獲得している。また、エスニック系メニューなどの香りが強い商品では、冷凍技術の進化により、チルドよりも冷凍のほうが解凍後に「本格的な味や香り」を楽しめる特性を持つ商品も多く、消費者の支持を受けているのだ。

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記事執筆者

湯浅 大輝 / ダイヤモンド・チェーンストア 記者

1996年生まれ。シンガポール出身。同志社大学グローバル・コミュニケーション学部卒業後、経済メディアで記者職に就く。フリーライターを経て、2021年12月ダイヤモンド・リテイルメディアに入社。大学在学中に1年間のアメリカ・アリゾナ州立大学への留学を経験。好きな総菜はローストビーフ、趣味は練馬区を散歩すること。

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