業績回復も「100店舗閉鎖」を断行……すかいらーく再成長のための打ち手

棚橋慶次
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注目したい、ブランド育成力

 対する競合は、ロイヤルホールディングスが、主力「ロイヤルホスト」のほか、「シェーキーズ」(ピザレストラン)、「てんや」(天丼専門店)、「シズラー」(サラダバー&グリルレストラン)など19のブランドを展開しているものの、その数はすかいらーくに及ばず、売上規模は全ブランドを合計してもすかいらーくが3倍以上だ。ブランドの育成力という点では、文句なしにすかいらーくに軍配が上がると言っていい。

 売上規模の大きさは、食材の調達力やセントラルキッチンでの高い効率化につながり、コスト面で競合に差をつける。まさに、すかいらーくの強みといえよう。

 では100店店舗の閉鎖は、肝心の売上規模に影響しないのだろうか。コロナ禍において、確かにリアル店舗の売上高は減少した。ただその一方で、デリバリーやテイクアウトがそれをカバーする伸びを見せている。仮に、店舗を減らして売上がそれほど落ちないのであれば、店舗閉鎖は効率向上の施策として評価できるのではなかろうか。

ファミレス誕生から半世紀……
すかいらーくは生き残れるか

 1970年、東京府中市に日本初のファミリーレストラン「スカイラーク」の1号店が開店した。時代は高度成長期、ファミレスは洋食文化にあこがれる消費者に根づいていく。セントラルキッチンが実現する安定した味と手ごろな値段は、「安心感」を求めるファミリー層のニーズともマッチした。

 あれから半世紀、創業者の横川兄弟はすでにすかいらーくを去り、消費者はファミレスに飽きて多様化した外食業態に目移りしている。同社の商号でありファミレスの代名詞ともいえる「すかいらーく」ももう無い。その名を冠した店舗は、2009年閉店の「川口新郷店」(埼玉県川口市)を最後に、姿を消した。

 それでもすかいらーくは、さまざまな業態で移り気しやすい消費者を巧みにとらえつつ、規模に拡大によるサプライチェーンの効率化を徹底し、競合に打ち勝とうとしている。

 よく知られていることだが、「すかいらーく」の語源は、「府中の鳥」であるヒバリの英語名である。ヒバリは晴れわたる空に独特のさえずりを鳴り響かせるところから、「日晴(ひはる)」と命名されたと言われている。すかいらーくはこの先、困難を乗り越え再び大空で舞い飛ぶことができるのだろうか。

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