2022年の日本の小売業売上高1000社ランキングは4年連続で大手コンビニエンスストア3社がトップ3を独占する結果となった。9位までの顔ぶれ・順位ともに前年と大きな変化がなかったが、21年10位のユニー(愛知県)をライフコーポレーション(大阪府)が抜き、上位10社に食い込んだ。コロナ禍で変化した消費者の姿をとらえ、各社は新たな成長戦略を描いている。上位10社の業績と、今後に向けた戦略をまとめた。
1.セブン-イレブン・ジャパン
平均日販で高水準維持 7NOW全国2万店導入めざす
セブン-イレブン・ジャパン(東京都)の22年2月期のチェーン全店売上高は対前期比1.7%増の4兆9527億円だった。前期実績を上回ったものの、コロナ禍以前の20年2月期の水準は下回った。販売動向の変化に伴って商品粗利益率が同0.3ポイント減と低下し、販管費が同2.8%増となった結果、当期純利益は同2.5%減の1896億円で減益となった。期中に625店を新たに出店する一方、505店を閉鎖した結果、国内の期末店舗数は2万1327店(セブン-イレブン・沖縄を含む)となっている。
既存店売上高は同0.7%増。客数が同1.2%減と前期を下回った一方、客単価は同1.9%増、対20年2月期比10.3%増と、コロナ禍で伸び続けている。平均日販は64万6000円で、コンビニエンスストア(CVS)業態で圧倒的に高い水準を維持している。
コロナ禍でのワンストップショッピングのニーズに対応し、取扱品目数を従来の2700品目から200品目程度追加した。また、個店ごとに多様なニーズが顕在化するなか、商圏や立地の特性に合わせたメリハリのある品揃えや売場づくりにも継続的に取り組んでいる。
22月1月以降は「北海道フェア」「九州フェア」「イタリアンフェア」といった特定の地域に関連したキャンペーンを定期的に展開するなど、目的買いされる高付加価値商品の品揃えを拡充し、商品と連動するプロモーションを強化。これらの取り組みも集客力の向上に寄与している。事実、23年2月期第1四半期の既存店売上高は対前年同期比1.7%増と好調に推移した。
デリバリーサービスの需要の高まりを受けて、スマートフォンで注文した商品が最短30分で届く「7NOW(セブンナウ)」の展開も加速させている。22年2月末までに北海道、東京都、広島県の約1200店で試験的に実施。今後は、収益モデルを確立させ、リアルタイム在庫連携などのシステム構築や配送体制の整備を固める考えだ。同サービスは、25年2月期に全国2万店への導入をめざしていて、足元の23年2月期までには5000店まで拡大する計画だ。
2.ファミリーマート
新商品政策で客単価・客数アップ 店舗のメディア化を展開
ファミリーマート(東京都)の22年2月期のチェーン全店売上高は2兆8419億円(対前期比2.8%増)だった。当期純利益は958億円で、赤字決算となった前期から大幅に回復した。期末店舗数は前期末から79店減の1万5646店。期中に170店を出店する一方、249店を閉鎖し、出店戦略面では“選択と集中”を見せた。
創立40周年記念の販促企画「40のいいこと!?」やプライベートブランド(PB)「ファミマル」の刷新、定番商品のリニューアルなど、商品を軸とした取り組みが奏功し、既存店の客数が同1.1%増、客単価が同2.2%増といずれも前期実績を上回った。また、全店ベースの平均日商も同約1万8000円増の51万1000円に上昇している。
他方、新規事業として、親会社である伊藤忠商事(東京都)との共同出資により
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