節電要請という“逆マーケティング”
電力需給のひっ迫により、各所で「節電」が呼びかけられている。これはマーケティングの観点からしてもきわめて異例な事態だといえる。電力会社が宣伝コストをかけて節電を促す──つまり、「自社商品(=電力)を使わないでください」というマーケティングを展開しているからだ。
もちろん、電力は国の基幹産業であり重要な生活インフラであるから、一般的な商品マーケティングの手法がすべて通用するわけではない。とはいえ、電力会社の会議室で「どんなメッセージを発したら使わないでもらえるだろうか?」なんて議論しているとしたら、マーケティング史上稀有な試みである。
そんな“逆マーケティング”が奏功してか、国も地方自治体も節電を促し、工場では稼働を落としたり、店舗では一部照明を消したり、また一般家庭でも節電に努める動きが拡大しているようだ。東京スカイツリーもライトアップの開始時間を繰り下げ、多くのオフィスビルでは空調の設定温度を上げている。筆者の自宅近くの商業施設でも、昼からカーテンやブラインドを閉めて冷房効率を向上させていた。
電力不足と「かき氷ブーム」
突然
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