ルーズソックス再流行を疑え!メディア報道を鵜吞みにせず”近視眼の視点”が必要な理由

未来調達研究所:坂口孝則
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スーパーマーケットの店内
小売ビジネスにおいては、まずは目先の情報や変化をとらえる近視眼的な視点も重要だ(写真は本文の内容とは一切関係ありません)

ルーズソックス再流行は本当か?

 「ルーズソックスが再ブームを迎えている」というニュースに触れた。メディアでは、1990年代中盤の流行期に女子高生だった世代が母親になってその子供たちに伝播しているとか、SNSが影響しているなどと伝えられている。某小売店ではルーズソックスの売上が例年に比べて倍になったらしい。

 流行真っただ中の当時高校生だった私も、多くの女子高生がルーズソックスを穿いていたのを覚えている。そして印象的だったのは、当時のメディアがこぞって女子高生自身に話を聞いていたことだ。“おじさんマーケター”にブームの理由を小難しく説明させるのではなく、流行の渦中にいる女子高生の生の声を聞き出そうとしていたのだ。女子高生以外には理解不能なブームであり、当事者に語ってもらうしかなかったためだろう。

 大げさに言うなら、ルーズソックスの流行というのは、年齢層やコミュニティごとに消費者が“カルト化”して、部外者は理解の難しい思想様式や消費行動を生み出すという、象徴的な出来事だったように私は思う。

 ここで冒頭の「ルーズソックス再ブーム」に話を戻す。この事象にもっともらしい背景はいくつも挙げられる。まず、前回のブームはバブル崩壊のあと、そして今回はコロナ禍という、いずれも不景気下にあるという共通項。あるいは、女性の社会進出が加速する中での存在感を示すアイテムとしての役割。または、景気低迷の中で仕送りが少なくなり、できるだけお金をかけずに人の目を引くファッションを楽しむため。はたまた、なんだかんだ華奢な体型が求められる時代だから、ルーズソックスで足を細く見せたいというニーズにマッチした。もしくは、単純に「映(ば)えるから」という理由でSNSで拡散しただけ──。おそらく、どの説明も間違ってはいないのだろう。

 ただ、こういったニュースを分析するうえでは、自身の直感や感覚も大事にしたい。そもそも

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