新生フジ(広島県/山口普社長)の誕生から1年半が過ぎた。旧フジ・リテイリング、マックスバリュ西日本の統合が着々と進み、足元業績は好調に推移しているものの、フジの山口社長は「まだまだ満足できる水準ではない」と危機感を隠さない。他エリアと同様、人口減少と高齢化が加速度的に進む中、中四国最大の食品小売リージョナルはどのようなかたちで成長していこうとしているのか。山口社長に聞いた。
「屋号間の壁」をどう乗り越えるか
──新生フジの誕生後、経営トップとして現在までにどのような取り組みに力を入れてきましたか。
山口 持ち株会社の旧フジが、傘下のフジ・リテイリング、マックスバリュ西日本を吸収合併するかたちで経営統合し、2024年3月に設立されたのが現在のフジです。単に存続するため2社が1つになったのではなく、流通業界においてリーディングカンパニーとなれるよう、各種施策を実施しています。
統合後は、店舗開発やシステム関連、商品、物流、人事をはじめ、テーマ別の18分科会を設置し、互いの経営資源、ノウハウの活用や、課題などについて協議して、計画的に融合を図っています。とくに注力するのは、それぞれの会社が長年培ってきた「屋号間の壁」を乗り越え、従業員一人ひとりが「今まで以上の成果を出す」という目的意識を共有することです。
1981年、松山商科大学(現松山大学)経営学部卒業後、フジに入社。
2013年取締役上席執行役員管理本部長兼人事総務部長。
14年フジ常務取締役常務執行役員管理本部長兼財務部長、17年フジ代表取締役専務執行役員開発・管理担当兼財務部長を経て、18年にフジ代表取締役社長に就任。
マックスバリュ西日本との経営統合に伴いフジ・リテイリング代表取締役社長を経て、24年3月にフジ代表取締役社長に就任。
──現在の中四国の経営環境をどう見ていますか。
山口 人口減少によるマーケット縮小を背景に、従来の業態、企業の勢力図が大きく変わりつつあります。物価高やそれに伴う節約志向の高まりを受け、今後はディスカウンターが台頭していくでしょう。当社が展開する食品スーパー(SM)や総合スーパー(GMS)も在り方が問われる時代になっていると考えています。
──そうした中、フジでは3カ年の中期経営計画を推進中です。
山口 今期で2年目に入りました。最終年度の27年2月期に「営業収益8450億円、営業利益160億円、ROE(自己資本利益率)4.1%」を数値目標に設定しています。
──26年2月期第1四半期は増収増益、以降の月次業績も好調に推移しています。
山口 まだまだ満足できる水準ではありません。われわれは大きなポテンシャルを秘めた会社であるという自負があります。スケールメリットを生かせば、
本記事で分かることは
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