毎年1万社以上を新規開拓する建設資材専門商社のリーディングカンパニー=渡辺パイプ渡辺社長
新規顧客が毎年1万社以上増加
──23年度の住設事業の売上高は対前期比9.2%増で、住設・建材系の専門商社では御社の伸び率が突出しています。好調の要因は何ですか。
渡辺 営業所を毎年20店舗ずつくらい増やして、新店でも既存店でも新規顧客を増やしているからだ。顧客は毎年1万社以上増えて、昨年は1万3000社増えた。入れ替わりながら、個人事業主から大企業まで、毎年コンスタントに新規顧客を増やしている。
──新規顧客の開拓のポイントは何ですか。
渡辺 各エリアでのお客さまからの紹介がいちばん多い。商材の幅広さ、迅速な対応、1日何便も配送する融通が利く自社物流などが評価され、これらのメリットがお客さまからの紹介につながっている。過去のトラブルの有無、保険加入なども含めて与信審査をした上で、小口顧客のお客さまも積極的に開拓している。
──営業所の出店は、どのような考え方で進めていますか。
渡辺 昔は商圏人口30万人のエリアに出店していたが、今は10万人でも成り立つと考えている。商材が幅広くなって対象顧客が増えたので、出店余地はまだある。市場が縮小しても、エリア内に水道工事店、電気工事店、工務店などがあれば、拠点は維持できる。
──物流における働き方改革が求められるなかで、自社配送車4000台は大きな財産になります。
渡辺 もともと倉庫には配送専従社員がいた。物流の「2024年問題」の対策もあるが、最近は大都市圏では広域配送が増えたので、物流子会社を設立して、この10年間は営業と配送の分離を進めている。首都圏や大阪に物流センターを開設し、営業所からの配送とセンターからの配送を組み合わせ、物流の効率化を図る。今後も物流拠点の開発に努めていく。
今のところは、自社商品を運んでいるが、今後は他社の物流を手掛けるビジネスも考えている。建設資材は、基本的に重量物、長尺物、異形物が多いので、配車のシステムを研究し、これを外販することも検討中だ。
建設業者向けECサイトを開設
──顧客同士をマッチングするユニークなサービス「セディア・コネクト」は、いつ始めましたか。
渡辺 21年4月からスタートした。現在の登録社数は1万超で、元請けと施工店をマッチングする。会費は無料で、今は1日数件程度マッチングしている。ベンチャー企業でも同じようなサービスはしているが、当社は、与信審査をしている既存客同士をつなぎ、マッチングした工事で事故があったら補償もしているので、安心して利用してもらえる。ただ、まだ登録社が13万社中の1万社と少なく、十分対応できないエリアもあるので、もっと登録社数を増やしたい。
──この4月からは、新たにECサイト「シザいもん」を立ち上げました。なぜEC事業を始めしたか。
渡辺 「シザいもん」はプロユーザー向けの副資材、工具、ユニフォームなどに特化し、約30万点の商材を揃える。商材によっては13時までの注文で、当日や翌日に配送できる。既存客向けとは完全にすみ分けし、決済はすべてクレジットだ。これから大きく育てていきたい。
──さまざまな新規事業を手掛けるなか、職人向けの小売店舗を運営するという考えはありますか。
渡辺 M&A(合併・買収)のチャンスがあれば、プロショップも運営するかもしれないが、今の営業所や物流、ネットワークをうまく生かして、より多くの施工店を押さえるのが重要だ。一方、毎年新入社員を250人ほど採用して、営業マンを介して物販するのが当社のビジネスの特徴だが、営業所の出店も無限にはできない。今後の市場動向に危惧もあり、人を介さない物販は今後の課題の1つだ。
ほかにも、新規事業として、コールセンターを運営し、ハウスメーカーのOB顧客の住宅に関する相談に対応し、ハウスメーカーや建築業者向けに設備設計サービスを提供している。物販以外でも収益が取れる事業を模索し、今後も積極的に新規事業にチャレンジしていく。
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