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セコマの2024年問題の対応方法と、新たなパラダイムシフトとは

セコマ(北海道)は、北海道で1100店近くと最大店舗数を誇るコンビニエンスストア(CVS)「セイコーマート」を展開し、全道に自前の物流ネットワークを持つ。同社は3つの主力事業に「原料生産・製造」「物流・サービス」「小売」を挙げ、商品の製造から物流まで自社で手掛けることで独自の成長を遂げてきた。だからこそ物流においても早期に改革に着手し、自前の製造・物流機能が次の成長源につながっている。これまでの物流改革の取り組みと今後について、同社の丸谷智保会長に話を聞いた。

小売業が物流コストを負担する覚悟を持つ

──現在の食品小売業の物流の状況をいかに見ていますか。

丸谷  小売業は、店には必ず商品が届く必要があるのに物流をあまり重要視してきませんでした。店では絶対に売れないものがあります。それは「棚に置いていない商品」です。本来は「流通業」であるべきで、小売と物流はセットなのですが、「小売業」という名前が表すとおり、製・配・販に分業化していった経緯があります。

 流通業において物流の重要性を痛感したのが2018年に発生した北海道胆振東部地震の時です。商品が届かず品切れとなりお客さまに商品を提供できず、物流が機能しないと店も機能しないと思い知りました。

 小売業は商品が当たり前に届いてしまう環境に慣れてしまったのです。製・配・販のなかで「配」の卸は流通の中心に位置しますが、チェーンストアの寡占化が進むことで配送単位がまとまり、「製」から「販」つまりメーカーから小売に商品を直送する動きが増え、卸が物流の中枢を担う流れにはなりませんでした。このように、製・配・販ともに物流を「商流」任せの状態にしてしまったことが現在の課題の背景にあると思います。

──セコマはかなり早期から物流を重視して対策も講じてきました。とくに「物流の2024年問題」については、いつごろから意識してきましたか。

丸谷  本格的に対策に動きだしたのは18年ごろです。そのころから24年問題について政府でもさまざまな答申が出るようになってきました。そこで社内の危機感を喚起するべく、政府に対して物流の課題と対策を取りまとめる委員だった大学教授を招聘し、物流において今後どのようなことが起きると予測されているのか、物流担当者や協力会社の社長に向けて講義をしてもらいました。

 11年頃には、製・配・販の流通における問題を解決するためにパレット共通化などが政府から示されていました。24年問題はずいぶん前から予測されていたことで突然起こったものではありません。

──小売業が物流問題に取り組むうえで何が重要になりますか。

丸谷  このまま

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