コロナ禍での売上低迷から回復を果たしたセブン-イレブン・ジャパン(東京都:以下、セブン-イレブン)。コンビニエンスストア(CVS)の利用傾向も変わるなか、同社はなぜ再び成長することができたのか。その要因と、今後の成長戦略を永松文彦社長に聞いた。
コロナ禍で加盟店との結びつき強まる
──2023年2月期の業績をどのように評価していますか。
永松 CVSは、出勤や行楽など、移動の途中で利用される傾向が強く、人流が売上高に大きな影響を及ぼします。22年度はコロナ禍が完全に収束せず、人流は徐々に回復してきたものの、コロナ禍以前の19年度の水準にはまだ至っていません。
そこでセブン-イレブンでは、「どのようにしてお客さまに来店してもらうか」という点に注力し、変化に対応してきました。22年1月以降、「北海道フェア」や「アジアングルメフェア」、米ハワイ州観光局公認の「ハワイときめきグルメ旅」といったフェアを毎月実施し、商品開発と売場づくり、テレビCMなどの販促を連動させて展開しています。
コロナ禍では、オフィス街や行楽地での利用が減少する一方、自宅近くの店舗を利用するお客さまが増えました。そこで、「事業所立地」「行楽立地」「住宅立地」という従来の立地区分の概念を変え、「事業所立地」を「都市型立地」、「行楽立地」を「郊外型立地」と定義しました。たとえば「都市型立地」ではこれまで拡大していなかったお酒やワインを取り扱うなど立地特性に合わせて品揃えを強化しました。ワンストップショッピングへのニーズにも対応し、品揃えの幅も広げています。
これらの成果は出たと評価しています。22年度のチェーン全店売上高は対前期比4.0%増の5兆1487億円と19年度を上回りました。平均日販も67万円と同2万4000円伸長し、加盟店の収益は順調に増えています。
──コロナ禍を経て、事業環境の変化に対応する企業体質がさらに強くなったように見受けます。
永松 フランチャイズビジネスは、フランチャイザーとフランチャイジーとのコミュニケーションをよりよくすることが基本です。
19年に「24時間営業」が社会的な注目を集めたことを契機に、オーナー意見交換会の実施や経営陣・幹部社員の加盟店への訪問、オーナー相談窓口の設置などを通じて加盟店オーナーとのコミュニケーションを強化しました。本部社員がオーナー業務を代行する「オーナーヘルプ制度」や加盟店の従業員向け研修制度など、加盟店のオーナーや従業員をサポートする制度も拡充しています。
このような取り組みを経たことで、20年以降、厳しい事業環境に置かれたコロナ禍では「一緒に施策をやっていこう」という機運がありました。加盟店との結びつきがいっそう強まり、体質は強くなったと思います。
──ポストコロナでの事業環境をどのように見通していますか。
永松 コロナ禍は、
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