「ESG経営の第一走者」を標榜 無印良品の環境・社会配慮型商品開発の全容

西岡 克(フリーランスライター)

無印良品のESG経営を象徴する「ReMUJI」

 このESG経営における重要課題の解決に向け、基盤となるのが「環境や社会に配慮した商品」の開発だ。同社は環境・社会配慮型商品について「地球環境や生産者に配慮した素材を選び、すべての工程において無駄を省き、商品がライフサイクル全体で環境への負荷を最小限に抑え、生物多様性や人権の影響、安全性などに配慮した商品」と定義づけている。

 この定義に見られる「商品のライフサイクル全体を考慮する」という視点は、創業時に定めた前述の「3つのわけ」にプラスされた4つ目のコンセプトであり、資源循環の実現をめざすという意志でもある。

 象徴的な取り組みの例は、同社が15年から始めた「ReMUJI」だ。着古した「無印良品」の服を回収し、染め直すなどして再販売する活動だ。現在34店で展開している。同社は今春、この「ReMUJI」の定義を「資源回収」「リユース・リサイクル」「わけあり品販売」など、「無印良品」による資源循環の取り組み全体の総称に変更した。

 今年3月に開いた世界最大の店舗「無印良品 イオンモール橿原」(奈良県橿原市)は「資源循環の推進拠点」と位置付け、「ReMUJI」コーナーも大々的に展開。「リサイクルは品質やコストを『我慢する』ことになりがちだが、「ReMUJI」はリサイクル自体が新しい価値を生み出し、お客さまの購買意欲を引き起こしている。ビジネスとして成功する例をやっとつかめた」と清水社長は胸を張る。

イオンモール橿原の無印良品のReMUJI
「ReMUJI」。今年3月に開業した「無印良品 イオンモール橿原」では「資源回収」「リユース品販売」「わけあり品販売」「古家具販売」「古本販売」という5つの活動を通して資源循環に取り組んでいる

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